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韓国にいる“アジア最高の選手”。
エスクデロ競飛王を日本代表へ!
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byAFLO
posted2014/11/04 10:40
恵まれた体格を生かしてのパワフルなドリブルや高いボールキープの技術など、そのスタイルは日本代表でも十分通用するレベルにある。
結果のすべてに「個」として責任を負う。
他にも韓国に来て、自身のメンタリティが大きく変わったことがある。試合の結果に対する、「個」の責任の部分だ。
「チェ・ヨンス監督は、とにかく結果だけを求めるんです。いいプレー内容よりも、いかに得点、アシストを記録したか。決定的な仕事が出来たか。それに応えないと、メンバーからすぐに外されてしまう。そうなると、絶対に自分がやるというメンタルに変化せざるをえなかった。相手よりも絶対に自分が上回る。自分が一番上手い。チームを勝たせるのは自分だ、と」
上下関係の厳しい韓国にあっても、年上のチャ・ドゥリなどに積極的に意見を言う。意識が変わってからは、「重要な試合で決定的な仕事ができるようになった」という手ごたえがある。今年の5月、国内で「スーパーマッチ」と呼ばれる特別な試合、スーウォンとのアウェーでの一戦で決勝ゴールを決めた。ソウルが敵地でスーウォンに勝ったのは'08年12月以来だった。
じつはこれ、アルゼンチン時代には自然と持っていたメンタリティでもある。ベレス・サルスフィルドの下部組織で揉まれていた頃は、強い相手になればなるほど力を発揮できたはずだった。しかし日本では周囲に合わせようとし過ぎるあまり、その感覚を忘れていたという。'07年に所属していた浦和はACL優勝も果たしたが、セルヒオはいつしか先輩に気を遣いすぎる選手になっていた。
韓国の地でアルゼンチン時代の「個」の意識を取り戻した日本人プレーヤー。これが現在のセルヒオの姿だ。ソウル近郊のクラブ練習場近くに住み、「年中合宿のようなもの」という日々のなかでその意識を研ぎ澄ましている。
負けても「次だ」という日本選手への違和感。
'07年に日本国籍を獲得した大きな目的は、日本代表入りを果たすことだった。現在も代表への思いは強く持ち続けており、ザッケローニ時代から試合はほぼすべて見ている。
「見ていて感じるのは、『次がある』と思ってプレーしている選手が多いんじゃないかと言う点です。その試合がダメでも、次にがんばればいいと思っているんじゃないかと。Jリーグ時代から感じていたのですが、日本の選手は負けても『大丈夫だ』『次だ』ということを口にする。
でも、僕は違う考えでいます。ミスはその場で取り返すべきだと考える。その試合でやりきれなければ、本当に悔しい。負けはめちゃくちゃ引きずりますよ。なぜ走れなかったのか、なぜチームが機能しなかったかを腹を立てながらも考える」