リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
クラシコでメッシが挑む“偉業”。
リーガ史上最多、252点まであと2点。
posted2014/10/24 10:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
スペインサッカー史上、最も重要なセンターフォワードはサラである。
1940年から'55年までアスレティックで活躍した彼は、スペイン代表でもストライカーを務め、'50年のブラジルW杯ではイングランドを下す歴史的ゴールを決めた。ヘディングがずば抜けて巧く、'51年の親善試合スウェーデン戦前の宣伝では「ウィンストン・チャーチルに次ぐ欧州きっての頭」と謳われた。
'54年4月にはサンティアゴ・ベルナベウで、前例のない国家行事レベルの記念試合が催され、'06年2月に逝去すると、マルカ紙がリーガ1部・2部それぞれのスペイン人最多得点者に贈るサラ賞を創設した。
サラは途方もない記録を幾つか残しているが、中でも有名なのはリーガの通算得点251だ。
マドリーの欧州5連覇の立役者ディステファノも素晴らしいゴールゲッターだったが、13シーズンで227得点。'80年代後半、4シーズン連続で得点王となったウーゴ・サンチェスは234得点。17歳でデビューして以来550試合に出場したラウールでさえ228得点。
それゆえのサラの記録は、ほんの数年前まで、未来永劫破られないと思われていた。
メッシが先週末に決めた250点目。
ところが先週末のエイバル戦で、リオネル・メッシはリーガ通算250点目を決めた。
25日サンティアゴ・ベルナベウで行われるクラシコで、59年ぶりにリーガ記録が塗り替えられるかもしれないのだ。
昨シーズン終盤とブラジルW杯の特に決勝戦の印象から、今季開幕前「メッシは落ち目」と考えるメディアは幾つかあった。
また今月16日には英ミラー紙のウェブ版が、彼のデビュー10周年に合わせて、「メッシの絶頂期はおそらく過ぎた」と書き立てている。根拠は'04年10月16日を開始点とした1年ごとのゴール数で、4年目を除いて右肩上がりだったものが8年目('11年10月16日から'12年10月15日まで)の69を境に、9年目は59、10年目は37と減っているからだ。実際、現在のリーガ得点ランキングでもメッシはクリスティアーノ・ロナウドとネイマールの後塵を拝し、3位となっている。