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凱旋門賞、フランスのトレヴが連覇。
6着が最高の日本勢、完敗の内実。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/10/06 11:30
好位でレースを進め、36年ぶりの凱旋門賞連覇をなしとげたトレヴ(左)。4歳になってもその底力は健在だった。
直線を迎えたところで、馬群が動き出す。
動きがあったのは、フォルスストレートが終わり、533メートルの直線に向くところだった。まず、ゴールドシップが大外からマクるようにしてスパートをかけた。後方2番手の内、前にジャスタウェイを見る位置にいたハープスターは、いったん下げてから、ゴールドシップよりさらに外に出して追いはじめた。
ジャスタウェイはそのまま距離ロスなくインコースを進み、追い出した。
ゴールドシップは見るからに苦しく、伸びあぐねている。
「馬は頑張ってくれた。力は出してくれた。そんなに世界は甘くない」と横山。
ジャスタウェイの伸び脚も今ひとつだ。
「じりじりと伸びてはいたので、距離は問題なかった。ただ、反応が鈍かった」と福永は振り返る。
ハープスターは直線なかほどから本来の鋭い末脚で伸びたが、内の馬をかわしにかかったときにはもう、4馬身以上前でトレヴがゴールしていた。
川田「レースに悔いはありません」
「馬はよく頑張ってくれました。結果を残せなかったことは申し訳ない。レースに悔いはありません。これがハープの競馬だと思う」と川田は語った。
レースのラスト3ハロンは34秒45(11秒81-10秒97-11秒67)。これだけ速い上がりを、力のいるロンシャンの馬場で、離れた後方から差し切るのは難しい。
結果論だが、伸びている最中にゴールが来て、脚を余した感のあるハープスターの競馬はもったいなかった。あのままジャスタウェイについて内を行けば、もう少しきわどい勝負になったかもしれない。
ゴールドシップは、後方で脚を溜めたのに伸びず、ジャスタウェイは、「脚があれば勝てた競馬」ができたのに、止まってしまった。
残念ながら、勝ったトレヴとの差は、騎手の乗り方次第で逆転できるようなものではなかった。
完敗だった。