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ゲバラの言葉でサンプドリアが躍進!?
ミハイロビッチが発揮する「名言力」。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/10/01 10:40
サンプドリアを率いるミハイロビッチは、昨季チームのセリエAへの残留を決めて20万ユーロのボーナスを手にした。
「うちはユベントスとローマ以外で唯一の無敗チーム」
5節のジェノバ・ダービー前夜、ミハイロビッチが引用したのは革命家チェ・ゲバラだった。
「自分たちの旗印を守るためなら、いかなる代償でも払わなくてはならない」
ダービーという大一番で、絶対に避けるべきは敗戦ではなく、相手へ降伏することだ。
ミラノやローマと異なり、ジェノバでのダービーマッチが技巧的なゲームになることはほとんどない。28日の試合も消耗戦になった。
サンプドリアに勝ち点3をもたらしたのは、FWガッビアディーニによる75分のFKだった。試合後「この勝利は、会長、監督、皆でつかんだものだ」と緊張を解かずに語った。
日曜夜の時点で、サンプは3位浮上の快挙を成し遂げた。
「うちはユベントスとローマ以外で唯一の無敗チーム。3位にいて当然だろう。ひょっとしたら、最終節が終わった後も3位にいるかも」
不遜ともとれる言葉を口にしながらも、ミハイロビッチの顔は笑っていない。鬼監督は、ロビン・ウィリアムスが演じたように良き教師である必要はないのだ。
新会長フェレーロに言わせれば、「(筋書きの読めない)サッカーの試合は、週末ごとに封切られる新作映画のようなもの」。'14年秋に封切られた予想外の大ヒット作『ミハイロビッチのサンプドリア』の快進撃はどこまで続くのか。