権威をモノともせず、商機には敏感。

　新会長は、サッカーと映画という2大娯楽を融合させ、商機拡大につなげたい。空いているユニフォームの胸スポンサー枠を最新作の宣伝に活用する程度は朝飯前、夏のプレシーズンキャンプ中には、売名行為と批判されようが自ら道化役となり「アイスバケツチャレンジ」で氷水をかぶった。

　権威をモノともせず、政財界の保守派からは疎まれているが、体を張ってアピールに奮闘する63歳に、(同じくジェノバを本拠地とするライバルのジェノア以外)一般のファンが抱く印象は決して悪くない。ミハイロビッチも「新会長は有言実行の人だ」と一目置く。

　セリエAの映画王といえば、'02年にフィオレンティーナを破産させたビットリオ・チェッキ・ゴーリが悪名高い。彼が持っていた複数の映画館不動産は、現在フェレーロの所有物になっている。

ナポリとの“映画ダービー”の行方は？

　イタリアを代表する世界的プロデューサーのアウレリオ・デラウレンティスは、10年前にナポリを買収し、健全経営を維持しながら、右肩上がりで古豪を復活させた。

　だが、今季はCLプレーオフでまさかの敗退。国内でもすでに2敗を喫し、監督ベニテスの求心力に陰りが見える現在、解任論まで出始めている。

　選手の総年俸比較からいえば、巨額の予算をかけたのにコケかけている期待外れの作品がナポリで、一方のサンプドリアは、低予算ながら個性派の監督とキャストによる快作といえるかもしれない。

　恐れを知らないフェレーロは「アウレリオ、グラウンドで一対一の勝負をしようじゃないか。まあ、勝つのは当然俺で、スコアは3－1だな」と挑発。同業のライバルを会長に戴くクラブ同士の因縁対決は、12月の13節だ。

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