Jをめぐる冒険BACK NUMBER
U-21代表のシャイな主将、大島僚太。
アジア大会で巻く腕章が変えるもの。
posted2014/09/25 10:40
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AFLO
8月半ばに行なわれたU-21日本代表候補の福岡キャンプ。最終日に組まれたアビスパ福岡との練習試合のキックオフ直前、手倉森誠監督はちょっとした異変に気がついた。
どちらかと言えばマイペースで、自分のプレーに没頭しがちな大島僚太が、整列を終えたあと、同じ中盤の選手たちを捕まえて「こうしていこう」といった感じで言葉を投げかけていたのだ。
この時点でチームのキャプテンは固定されておらず、手倉森監督はひとまず、年長者の大島に腕章を預けていた。
「お、さっそく積極性が出てきたなと。あの様子を見て、アジア大会でもキャプテンを任せてみようかなって思ったんだ」
A代表ではなく、U-23+オーバーエイジ3人の編成で争われるアジア大会の男子サッカー。日本は2年後のリオデジャネイロ五輪に向けた強化のため、U-21日本代表(いわゆる五輪代表)をこの大会に送り込んでいる。
グループリーグの初戦は、同じくU-21代表のクウェートに4-1で完勝。第2戦は、この世代においてアジア最強を誇り、U-23代表に2人のオーバーエイジを起用してきたイラクに1-3で敗れたが、ネパールとの第3戦では、U-23代表でオーバーエイジを3人フル活用してきた相手に4-0で勝利し、決勝トーナメント進出を決めた。
大胆に飛び込んだ初戦、バランスに専念した2、3戦目。
25日、決勝トーナメント1回戦の相手はパレスチナ。そこから3つ勝ち進み、決勝でイラクにリベンジ、というのが、日本の目論みだ。そして今大会でも、キャプテンは引き続き大島が務めている。
初戦ということもあり、慎重にゲームに入ったクウェート戦では、前半終了間際にペナルティエリア内に飛び込み、絶妙なトラップからゴールに向かってパスするような基本に忠実なシュートで先制ゴール。チームを重苦しい雰囲気から解放した。
イラク戦、ネパール戦ではワンタッチ、ツータッチでシンプルにボールを動かし、戦況や相手の状態、チームメイトの様子を観察してバランスを取ることに専念した。