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甲子園のバント、181回は減少傾向?
勝率との関係から局面、最多校まで。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/09/03 16:30
敦賀気比はバントを多用して勝ちあがったが、準決勝で大阪桐蔭に敗れた。高校野球に根付くバント戦術の行方はどうなるのだろうか。
北信越勢にバント、全力疾走が多い理由。
このうち1試合に3つ以上のバントをしたのは、敦賀気比、富山商、星稜が各3試合、聖光学院2試合、三重、沖縄尚学、利府、二松学舎大付各1試合だ。
沖縄尚学などは、3回戦の二松学舎大付戦でバント合戦の応酬になった結果8つのバントを記録しているが、準々決勝の三重戦では3回の1死一塁、4回の1死一塁で強打を選択しているように、バントが当たり前というチームではない。この沖縄尚学に勝った三重も、この試合でバントは2つしかしておらず、2点取った4回、5点取った5回の場面ではバントを1つも敢行していない。
こうしてバント10傑を見ると、北信越勢が上位に入っているのがわかる。とくに敦賀気比、星稜、富山商の3校はバントを攻撃の中心に据えている。ただし、これらの学校はバントだけに熱心なわけではない。
敦賀気比は3回戦の盛岡大付戦で4盗塁を決め、さらに私が全力疾走の基準にしている打者走者の「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12.3秒未満」を、坂出商戦では5人(5回)の選手がクリアしている。
今年こそ敦賀気比が大会ナンバーワンの得点力(58得点、2位は大阪桐蔭の46)を発揮したが、北信越勢に特徴的なのは得点力の低さだった。ゴロでも全力で走ってあわよくばヒットにし、数少ないチャンスが訪れればそれをバントで得点圏に送ってワンヒットで生還させる――こういう攻撃の形が伝統として出来上がるのは当然だと思う。
次に盗塁数と、前述の全力疾走で目立ったチームを見ていこう。
◇盗塁5傑
健大高崎26
敦賀気比7、近江7
聖光学院6、二松学舎大付6
◇全力疾走(5人以上がタイムクリアしたチームを時系列に抜粋)
敦賀気比 (8/11、坂出商戦)5人5回
三重 (8/13、広陵戦)5人8回
東海大四 (8/14、九州国際大付戦)5人7回
聖光学院 (8/14、神戸国際大付戦)5人5回
聖光学院 (8/19、佐久長聖戦)5人5回
星稜 (8/20、八戸学院光星戦)5人6回
富山商 (8/21、日本文理戦)5人6回
聖光学院 (8/22、日本文理戦)6人6回