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甲子園のバント、181回は減少傾向?
勝率との関係から局面、最多校まで。
posted2014/09/03 16:30
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Hideki Sugiyama
先月25日に幕を閉じた夏の甲子園大会を、「バント」をテーマに考えてみた。
高校野球では無死ないしは1死一塁という局面で最も頻繁に見られる戦術がバントだ。今大会、スコアに「バント」と記録されているのは181あり、1試合平均では3.77になる。これが多いか少ないか4年前の大会と比較すると、2010年の92回大会は221で、今大会より40も多い。バントはこの4年間で2割近く減少しているのである。
49校が、初戦で敢行したバントは計90個。多いチームは1試合3個以上バントをし、利府の7個を筆頭に13校がここに分類される。バントが多い13校の勝率がどうかというと、10勝3敗と非常にいい(3個以上記録している同士の試合が2つあった)。どんな試合か次に紹介する。
○利府4-2佐賀北(利府7バント)
○城北5-3東海大望洋(城北5バント)
○敦賀気比16-0坂出商(敦賀気比4バント)
●神戸国際大付1-2聖光学院(神戸国際大付4バント)
○八頭6-1角館(八頭4バント)
○富山商2-0●日大鶴ヶ丘(富山商、日大鶴ヶ丘3バント)
○東邦11-3日南学園(東邦3バント)
○星稜5-4●静岡(星稜、静岡3バント)
○鹿屋中央2-1市和歌山(鹿屋中央3バント)
○山形中央9-8小松(山形中央3バント)
○二松学舎大付7-5海星(二松学舎大付3バント)
「バント敢行」を足すと数字はさらに増える。
ちなみに、空振りの三振(スクイズ失敗など)、バントの失敗(走者の二塁封殺など)、バント安打などは犠打に含まない。利府は7つ以外でもスクイズ敢行時の空振り三振、城北は5つ以外でも6番打者のバント安打があるので、「バント敢行」という項目があれば1つずつ増える勘定になる。
さらに2つのバントで勝った聖光学院は2つのバント失敗(空振り三振、捕飛)があるので、実質的には神戸国際大付と同じ4つのバントを敢行したことになる(ちなみに、敦賀気比は8-0とリードした7回裏無死一、二塁のとき9番打者がバントしているが、大差がついた展開での執拗なバントに対する非難はなかった)。