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新生ミランの鍵を握る“パサー”本田。
フィニッシャーが揃う前線との好相性。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2014/08/29 11:50

新生ミランの鍵を握る“パサー”本田。フィニッシャーが揃う前線との好相性。<Number Web> photograph by AFLO

ミランのレジェンド、インザーギはトップリーグで指揮を執るのははじめて。彼の船出が順調なものになるかどうかは、本田圭佑の出来にかかっている。

ミランの前線には、本田以外パサーがいない。

 生粋の点取り屋だった新監督インザーギにとっても、右サイドFW本田の重要度は日に日に増している。3トップのスタメンの座を争うFWたちは、“偽の9番”としてスペースを作ったり、有能なフィニッシャーであったりはするが、前線のパサーとしてのスペシャリストは本田以外にいない。TIMカップの試合後、インザーギは落ち着いた口ぶりで語った。

「本田の(選手としての)クオリティを疑ったことはない。あらためて強調するが、彼が最も活きるポジションは右サイドなんだ。シーズンを通して活躍してほしいと心から願っている」

 新シーズンのミランは、スタメンの顔ぶれが前後で一変する。

 CL王者R・マドリーの正守護神D・ロペスの引き抜きが与えたインパクトは決して小さくないし、パリSGから早々に加入が決まっていたCBアレックスに続いて、一線級のコロンビア代表アルメロが左SBに補強された。

 クラブの予算には限度があるものの、インザーギを監督として表舞台に担ぎ出した以上、フロントの人間も“レジェンド”にむざむざ醜態を晒させるわけにはいかないのだ。

 ガッリアーニ副会長は、9月1日の移籍市場期限日まで補強に動くだろう。原稿締め切りの時点では、F・トーレス(チェルシー)獲得への動きもなお強い。

 '00年代の黄金時代を担った一流選手たちがミランを去り、FWイブラヒモビッチとDFチアゴ・シウバ(ともにパリSG)を売却した2年前の夏以来、淀んでいた流れが動き始めた。

 中途半端で定まらなかったチーム強化方針も、問題児バロテッリの放出を機に、エルシャーラウィやDFデシーリオといった'90年代生まれの“ゴールデンベイビーズ”をベテランたちが盛り立てる意識が高まりつつある。

8月31日、新しいミランがサン・シーロで誕生する。

 なお上位3強との戦力的格差は大きいし、“インザーギイズム”とでもいうべき、新指揮官の理想実現には時間がかかるだろう。

 それでも、ミランは変わろうとしている。

 本田もまた、新監督インザーギが求めるチーム戦術の駒の一つに徹したとき、あえて孤立などしなくとも、真の10番として周囲から認められるはずだ。

 今季の開幕戦で、ミランはラツィオを迎え撃つ。

 かつて本田へオファーを出した因縁のチームには、W杯通算得点記録を塗り替えたFWクローゼを筆頭に曲者たちが揃う。新生ミランの初戦の相手として不足はない。

 ミランも、本田も、インザーギも、誰もが夏の終わりに新しいページをめくる。

 8月31日、ミラニスタたちは新しいミランをサン・シーロで目撃する。

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