野球クロスロードBACK NUMBER
2度の二軍落ちから完全復活。
番長・三浦大輔、目下4連勝中!
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/08/18 11:45
現在は投手コーチも兼任している三浦大輔。昨年はリーグ最多の敗戦、失点、自責点を負いながらもチーム最多の9勝を上げた。
「正直、心が折れそうになった」2度の二軍行き。
前半戦、三浦は苦しんだ。
初登板となった4月4日の広島戦は7回1失点。勝ち星はつかなかったが、いい滑り出しと言っていい投球内容だった。
だが、その投球を持続できなかった。
11日のヤクルト戦で5回5失点、続く18日の広島戦でも5本塁打を浴びるなど6回6失点でKO。この試合の直後、三浦の一軍登録抹消が決定した。ファームでの調整登板を経て6月4日に一軍に復帰したが、この日の西武戦を含め2戦連続で敗戦投手となり、15日に再びファーム行きを通達された。
三浦は当時の心境を漏らす。
「正直、折れそうになりましたよ、心が(苦笑)。本当にね……折れそうになった。でも、最終的に心が折れずにやってこられたのは、『絶対に一軍のマウンドに戻ってやる!』って自分に言い聞かせていたっていうこともあるし、『今までやってきたことを信じて続けていこう』と思ったからなんですよね」
ファンのために「俺は戻ってこなきゃいけないんだ」。
大スランプに陥った2010年から2011年にかけて、徹底して行なったアジリティの向上。全体練習前にランニングと瞬発系、持久系のトレーニングをバランスよくこなす。ハードワークが続いたとしても完全オフは控え、散歩などで体を常に温めているし、ノックを受けて体のキレを持続させる努力もする。もちろん、練習や登板日の後には、若い選手の倍以上の時間をかけて入念にストレッチを行なうなどケアも怠らない。
三浦は「特別なことはしていないんですけどね」と笑う。40歳の大ベテランには経験というバックボーンがあり、そこで築き上げた引き出しがあるのだ。だからこそ、窮地に立たされても平静を保ち、やるべきことをしっかりと貫くことができるのだろう。
さらに三浦は、「一軍のマウンドに戻れたのはそれだけじゃないんですよ」と言わんばかりに、もうひとつの理由を教えてくれた。
「やっぱりファンの存在ですよね。二軍にいるときは、少なからずヘコむこともあったけど、絶対にファンが待っていてくれると思っていましたから。みんなのためにね、『俺は戻ってこなきゃいけないんだ』と思い続けてやってこられたのも大きかったですよ」