野球クロスロードBACK NUMBER
2度の二軍落ちから完全復活。
番長・三浦大輔、目下4連勝中!
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/08/18 11:45
現在は投手コーチも兼任している三浦大輔。昨年はリーグ最多の敗戦、失点、自責点を負いながらもチーム最多の9勝を上げた。
復活を願う人がひとりでもいるから、投げ続けられる。
三浦の口から「ファン」という言葉を聞くと、それが“うわべ”だけで述べているのではないと頷ける。
FA権を取得した'08年に阪神入りが囁かれた際、多くのファンが「行かないでくれ!」と懇願した。「引退」の二文字が脳裏をよぎった'11年もファンは諦めずに声援を送り続けてくれたし、'12年に150勝を達成した時だって自分のことのように喜んでくれた。
三浦は以前、ファンへの想いを熱く語ってくれたことがあった。
「'10年と'11年なんて結果が出なくて、たくさんのファンが『三浦も限界かな?』と感じたでしょうね。でも、たったひとりのファンが『絶対に復活してください』と言ってくれれば、俺はその人のために頑張らないといけないんですよ。サインだってそうですよね。今、ネットオークションで売る人が多いって話を聞きますけど、そこで、『どうせ売られるんだから書きたくない』とは思わない。だって、なかには本当にサインが欲しい人がいるじゃないですか。その人たちのために書き続けたいんですよ」
23年間築き上げた経験とファンの想い。ふたつの強固な柱が、40歳になった三浦大輔の大きな支えとなっているのだ。
球団初のCS進出へ、投手兼任コーチとしてできることを。
チームは現在5位ではあるが、3位・広島とのゲーム差は4.5と、クライマックスシリーズへの射程圏内にいる。今季から投手兼任コーチを務める三浦は、球団初のCS進出へ向け、自身はもちろんチーム全体として気持ちを引き締めていかなければならない、と力強く語る。
「8月、9月が勝負ですからね。ここからは目に見えるもの、見えないものも含めて、小さなミスが命取りになるんでね。自分もそうですけど、チーム全体として1試合、1試合集中して、なんとか粘って戦っていこうと思うし、自分も選手たちに伝えられることがあれば、どんどん伝えていきますよ」
頼れるハマの番長が戻ってきた。チームも厳しい夏場に奮起している。
CS進出という悲願が達成されれば、ファンはチームに喝采を贈り、そしてきっと、こう叫ぶだろう。
「番長が戻ってきてくれて、本当によかった」