野球クロスロードBACK NUMBER
2度の二軍落ちから完全復活。
番長・三浦大輔、目下4連勝中!
posted2014/08/18 11:45
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
NIKKAN SPORTS
やっと、本来の番長が戻ってきた。
7月13日のヤクルト戦、5回1失点で今季初勝利を手にしたDeNAの三浦大輔は、お立ち台でそれまでのうっぷんを晴らすように、ファンに向かって「お待たせしました!」と声高らかに叫んだ。
この勝利は史上4人目となる22年連続勝利という快挙でもあったが、三浦にとってそれは誇りではあるものの、23年間の現役生活で積み重ねてきた結果でしかない。
「ひとつ勝つ大きさを改めて感じましたよ」。三浦は偉大な記録よりも、目の前の1勝を素直に喜ぶ。そんな男である。
このヤクルト戦以降、三浦は勢いに乗った。
7月27日の同カードで8回1失点、8月7日には1失点の完投で、チーム8年ぶりの巨人戦3連勝をアシストした。そして8月14日の中日戦でも7回無失点で目下4連勝。しかも、この間の防御率が0.62と、圧倒的なパフォーマンスを見せているのだ。
三浦らしい、ランナーを背負ってからの粘り強さ。
何より際立つのが粘り強いマウンド捌きだ。
前回登板の中日戦を例に挙げれば、初回から4回まで毎回走者を置きながらも低めにボールを集めることで要所を締めた。1点リードの6回1死満塁のピンチでも、平田良介、エルナンデスを外角の変化球で打ち取り、勝利を大きく手繰り寄せたのだ。
三浦本人も、「できれば毎回、三者凡退で打ち取りたいんですけどねぇ」と苦笑いを浮かべつつ、自らの身上を言葉にする。
「打たれた後にどういうピッチングをするか? 自分にはそれしかないですから。ランナーを多く背負っていても我慢強く投げていくしかないんでね。そういう状況になったら、とにかく自分にできることをしっかりやることだけを考えていますよね」
今でこそ、自分の投球を冷静に振り返ることができる。しかし、今季の成績は一軍登板わずか9試合で4勝4敗。毎年15勝を目標に掲げ、昨年まで2年連続で9勝をマークしているローテーション投手の三浦からすれば、到底納得できる数字ではない。