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今回もメジャーの勝者は“ナイスガイ”。
マキロイと松山英樹の差は「笑顔」?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byJun Hiraoka
posted2014/07/22 11:25
メジャー3勝目をあげ、2014年のランキングでも2位に躍り出たローリー・マキロイ。松山や石川とは2学年差の25歳。これからも彼らにとって大きな壁となりそうだ。
米初勝利を挙げた時と今の松山は何が違うのか。
「今年に入ってずっと(ショットの調子が)悪かった。ここへ来て、ごまかし切れなくなった」
メモリアル・トーナメントで米ツアー初優勝を挙げることができたのは「たまたまです」。悔しさと落胆の中で4日間を終えた松山は口を尖らせながら思わずそう言い放ったが、あの初優勝こそは、今週のマキロイらのように松山が自信を武器にして勝ち取ったものなのだ。あのメモリアルの大会のときこそ、今週のマキロイやファウラーやガルシアのような自信に満ちた笑顔をたたえていたことに、松山自身はきっと気づいていない。
メモリアル前週のクラウンプラザ招待のとき、松山は暗い顔をしていた。最終日に最終組で回ることが決まったときも「不安のほうが大きい」と伏し目がちで、実際、その最終日は優勝争いの蚊帳の外に置かれ、練習不足と精神力の低さを思い知らされた。
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だが、翌週のメモリアルでは「先週は自信がない感じだったが、今週は違う」と目を輝かせ、最終日は「自信を持って出ていけた」。だから彼は、あの難コースのミュアフィールドビレッジで堂々たる勝利を手に入れることができたのだ。
そして、あのとき彼はこう言った。
「ミスショットがありながらも勝てた。でもメジャーでこういうプレーをしていたら優勝は遠ざかっていく」
ゴルフは「ミスのゲーム」である。
松山はミスショットがありながらもメモリアルを制し、マキロイはリンクス攻略を目指して磨いた技術をほとんど使うことなく全英オープンを制した。
そう、ゴルフはミスのゲームゆえ、どんなに技術を磨いても、やっぱりミスは出る。一番大切なのは、ミスを最小限にとどめ、ミスからのリカバリーに努めること。そのための原動力となるものは、もはや技術力ではなく精神力。自分を信じる心であり、それがあるかどうかを示すバロメーター、その反映が自ずと浮かぶ静かな笑顔だ。