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今回もメジャーの勝者は“ナイスガイ”。
マキロイと松山英樹の差は「笑顔」?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byJun Hiraoka
posted2014/07/22 11:25
メジャー3勝目をあげ、2014年のランキングでも2位に躍り出たローリー・マキロイ。松山や石川とは2学年差の25歳。これからも彼らにとって大きな壁となりそうだ。
苦しい時期を乗り越えたファウラー、ガルシア。
マキロイとともに最終組で回り2位になったファウラーも、マキロイ同様、この1年間血の滲むような練習と努力を積み重ねてきた。昨年の全英オープンで予選落ちを喫した直後から、名コーチのブッチ・ハーモンに師事し、スイング改造に取り組んできた。
「去年のあのころは自信のレベルがとても低かった。でもあれから毎週毎週、一歩ずつだけど、何かが良くなっていると感じながら戦ってきた。今は自分が信じられる。自分のゴルフが信じられる。だからメジャーに来ても、すごく居心地がいい」
その言葉通り、今季はマスターズで5位、全米オープンで2位になった。そしてこの全英オープンでも、勝利にはわずかに届かなかったけれど、見事な戦いぶりを披露して2位になった。
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ガルシアは、'99年に19歳でセンセーショナルにデビューして以来、メジャー優勝に何度も王手をかけながら、敗北しては悪態をつき「優勝できないならメジャーに出ても意味がない」とまで言い放った時期もあった。
だがいつしかそんなガルシアも大人になり、今週の彼は昔の彼とは別人のように、穏やかで前向きなガルシアになっていた。
「世間では2位ではダメだという見方があるだろうけど、僕はそうは思わない。勝てなくても、それは必ず次の何かの役に立つ。ポジティブな要素は常にネガティブな要素を上回る。そう信じられるようになった僕は今、ようやく成長したようだ」
ガルシアは静かに微笑みながら、優しい視線でそう言った。
試合前から自信を喪失していた松山英樹。
そんなふうに自信に裏打ちされた笑顔を武器に優勝争いを展開したマキロイやファウラー、ガルシアと比べれば、ロイヤルリバプールを戦った松山英樹にその笑顔は無かった。
「ショット、パット、アプローチ、(どれも)自信を持ってやれていない」
開幕前からそう言っていた松山は、言うなれば、戦う前から土台が揺らいでいた。それでも彼は「いい状態ではないけど、去年からの1年間で練習してきたものがメジャーで出せるかどうか」と必死に前を向き、なんとか初日はリーダーボードに「MATSUYAMA」の名を載せる好発進を切った。が、自信で固められていない土台は如何せん脆弱で、2日目以降はあえなく失速し、39位に終わった。