沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
復活のゴールドシップ、宝塚記念連覇。
勝敗を分けた、発表以上に重い馬場。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/06/30 11:20
阪神コースはこれで5勝2着1回と、あらためて“阪神の鬼”っぷりを発揮したゴールドシップ。右回りの力のいる芝コースと言えばロンシャン競馬場。秋のローテーションに注目が集まる。
3コーナーに入って、ペースが上がると……。
前半1000m通過は1分2秒4。芝は良発表だったが、前日の雨でかなり重くなっていた。そうした馬場状態を考慮しても、ゆっくりとした流れだ。
3コーナーに入ってペースが上がった。
ラスト600mを切り、4コーナーを回りながら各馬の騎手のアクションが大きくなった。縦長だった馬群が凝縮され、先行勢と後続との差が詰まってきた。
直線入口、まだヴィルシーナが先頭を走っている。それをフェイムゲームがかわしにかかり、すぐ後ろにカレンミロティックとデニムアンドルビーがいて、その外から横山の左ステッキを受けたゴールドシップがラストスパートをかける。
ラスト200m、内ラチ沿いでヴィルシーナがしぶとく粘り込みをはかり、外のフェイムゲームが苦しくなってきた。さらに外からグーンと伸びたゴールドシップがそれらをまとめてかわし、突き放した。
重い馬場で発揮される、ゴールドシップの図抜けた強さ。
勝ちタイムは2分13秒9。レコードの2分10秒1より3秒以上時計がかかった。ちなみに、昨年の勝ちタイムは2分13秒2だった。パワーが求められ、どの馬もそれほど速い脚を使えないこうした馬場では、やはりこの馬の強さが図抜けていた。
管理する須貝尚介調教師は、レース前、装鞍所でずっと雨乞いのダンスを踊っていたという。
「ノリちゃん(横山典弘)には何の指示もしなかった。ゲートに入ったときに悪い癖を出さずジッとしているのを見た時点で大丈夫だと思いました」
三強と呼ばれた、ほかの2頭を意識したかという質問には首を横に振った。
「ノリちゃんとゴールドシップが呼吸を合わせた結果、こうなったというだけです。人馬一体というのは、まさにああいうレースのことを言うのだと思います」
登録のある凱旋門賞参戦を含む今後のローテーションに関しては、
「ゴールドシップの体調を第一に考え、オーナーの意向に従って結論を出します」
と明言を避けた。