沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
復活のゴールドシップ、宝塚記念連覇。
勝敗を分けた、発表以上に重い馬場。
posted2014/06/30 11:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
6月29日、阪神芝内回り2200mを舞台に行なわれた第55回宝塚記念を横山典弘が騎乗するゴールドシップが優勝。レース史上初の連覇を果たし、7万を超える観客を沸かせた。
ファン投票で1位に選出されたゴールドシップは、単勝でも2.7倍の1番人気に支持された。
スタートは、この馬にとっては「お約束」のゆっくりしたものだった。ゲートを出てしばらくは出走12頭中最後方だったが、正面スタンド前でスルスルとポジションを上げ、1コーナーに差しかかるころには外目の4、5番手という絶好位につけていた。
「頑張ってください」と馬にお願い。
「馬の気持ちを大切にすることを一番に考え、会話をしながらゲートに向かいました。ちゃんと走ってくれさえすればいいと思っていました。この馬の強さはこれまでの成績を見れば説明はいらないでしょう。だから、きょうは最後まで『頑張ってください』とお願いしながら乗っていました」
と、1991年のメジロライアン以来23年ぶりに宝塚記念を制した横山は振り返る。
「お願い」という表現が、我が道を行く彼らしく、ユニークだ。
「あれこれ押しつけて言うことをきかせようとしても上手くいきませんからね。お願いしながらも、ぼくのことも意識してもらうようにしました。きょうの返し馬でも、いつものように好きなところに飛んで行こうとした場面がありましたが、ぼくの気持ちを察してからは、こちらの指示を受け止めてくれるようになりました」
ヴィクトリアマイルを連覇した、牝馬のヴィルシーナがハナを切り、2番手にフェイムゲーム、3番手にカレンミロティック、そして4番手がゴールドシップという順で向正面に入った。
ゴールドシップの内からデニムアンドルビーが上がってきて、その斜め後ろに3番人気の女傑ジェンティルドンナがいる。
ホッコーブレーヴ、メイショウマンボといった馬がつづき、2番人気のウインバリアシオンはそれらを見るようにして脚を溜めた。