スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
イチローがレギュラーに返り咲き!?
監督好みの「選球」で四球量産中。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2014/06/30 10:30
かつては、安打は多いが四球が少なくて、高い打率の割に出塁率が伸びないことも多かったが、「選球」というスタイルを手に入れたイチローを、監督は重宝している。
イチローはレギュラーに「定着」している?
シーズン当初から、イチローの出番が減っているのが話題になっているが、実はここ10試合のうち、8試合は先発出場し、1試合は代打、そして1試合は出場がなかった。
私が見るところ、レギュラーに「定着」しているのだ。
その理由は、数字を見ると分かりやすい。ヤンキース外野5人衆の成績を見て欲しい(OPSは出塁率と長打率の総和)。
ガードナー 打率.287 本塁打6 出塁率.357 長打率.413 OPS.770
エルズベリー 打率.286 本塁打4 出塁率.355 長打率.397 OPS.752
ベルトラン 打率.218 本塁打7 出塁率.277 長打率.404 OPS.681
ソリアーノ 打率.231 本塁打6 出塁率.254 長打率.387 OPS.641
イチロー 打率.308 本塁打0 出塁率.363 長打率.336 OPS.698
この数字をどうご覧になるだろうか?
3人目争いでイチローは一歩リードしている。
ジラルディ監督がガードナーとエルズベリーを重用するのは当然だろう。特に契約延長に応じたガードナーの活躍はチームの中心選手になっていく予感をさせるし、エルズベリーは数字以上の存在感を示している。
問題は、新加入のベルトランとソリアーノだ。ベルトランはケガの影響なのか、期待されたような数字を残せていない。
悲惨なのはソリアーノだ。出塁率が.254というのは、監督としては許容できない数字だ。右翼を守っても不安を感じさせるし(もともとは二塁、外野にコンバートされてからはレフトが専門職)、ここ10試合で先発しているのはわずか2試合だ。
この状況を見れば、規定打席に達していないとはいえ、打率3割以上、そして出塁率が例年に比べて高いイチローが定位置を獲得しているのに不思議はない。