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ドイツは攻撃的ながら“安全第一”?
センターバック4人起用、2つの理由。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2014/06/20 10:30
ロナウドをマークするメルテザッカー。彼自身は生粋のCBだが、これまではグロスクロイツやラームなどSBを本職とする選手たちとDFラインを構成することが多かった。
ポゼッション重視の場合はラーム、クローゼがカギに。
もしも、ポゼッション重視でDFラインを高く保ち、相手を押しこんで崩すことにこだわれば、ラームを本来のサイドバックのポジションで起用することも考えられるだろう。
そうなれば、センターフォワードの位置にクローゼを置き、彼のヘディングの強さを活かしつつ、彼がディフェンダーを引き連れて中盤に下がって、空いたスペースに他の選手が飛び込むような戦略も有効になる。ただ現状の形で、カウンター時の効果的なプレーを期待するのであれば、彼の序列はミュラーらに劣ることになるのだが。
また、適度にカウンターを繰り出すことを考えれば、アンカーにラームを置き、その前にスタミナと走力、それにゴール前に入っていくパワーのあるケディラを起用するメリットは大きい。
過去2大会では3位に甘んじたドイツ代表は'90年以来のタイトルを手にするために、攻撃の理想を追い求めるだけではなく、攻守のバランスとブラジルの環境に適応することを優先した。
それが4人のセンターバック起用に象徴されている。理想だけではなく、現実を見据えた彼らの戦いは実を結ぶことになるのだろうか。