ブラジルW杯通信BACK NUMBER
ドイツは攻撃的ながら“安全第一”?
センターバック4人起用、2つの理由。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2014/06/20 10:30
ロナウドをマークするメルテザッカー。彼自身は生粋のCBだが、これまではグロスクロイツやラームなどSBを本職とする選手たちとDFラインを構成することが多かった。
高さと対人プレーの強さで、相手のカウンター対策に。
右サイドバックを務めるボアテンクは「僕らが攻撃的であることに変わりはない」と話しているように、攻撃的なサッカーを放棄するつもりはない。ただ、DFラインを高く保って相手チームにカウンターのスペースを与えるばかりでは苦しくなる。ボールを支配するだけではなく、ときには自陣に引いて、逆にカウンターを狙う戦いも必要となると考えたのだ。自陣に引くような時間が増えるならば、高さと一対一の強さがあるようなタイプの選手が4人並んでいれば、安定感が増す。
また、相手がカウンターを仕掛けてきたときにも、彼らの持つ個の強さは強力な対抗手段になる。
「4人は(本職がセンターバックのディフェンダー)高さがあるし、中央を固める責任を負うことになる」
レーブ監督はそのように話している。
ボアテンク、ヘベデスともにSBとしての経験も十分。
忘れてはいけないのは、ボアテンクとヘベデスがサイドバックでの出場経験も十分にあるということだ。ヘベデスは2012年のEUROを控えた'11-'12シーズンには、ドイツ代表の右サイドバックとしてプレーする機会を模索するために、チームで右サイドバックを務めることも少なくなかった。
ボアテンクも今シーズンはクラブ、代表ともにセンターバックでプレーしたものの、前回のW杯では大会途中から左サイドバックのレギュラーとしてプレーした。そして当時所属していたハンブルガーSVでもバイエルン戦など、サイドに攻撃的なアタッカーがいる試合でサイドバックとして起用され、相手の長所を消す役割を忠実にこなしていた。
ポルトガルとの初戦では、右サイドバックを務めたボアテンクは対面のクリスティアーノ・ロナウドにほとんどチャンスを与えず、レーブ監督に「ボアテンクはロナウド相手に素晴らしいプレーを見せてくれた」と言わしめた。
4人のセンターバックを並べる理由はもう一つあるという。ボアテンクが挙げたのは、気候の問題だ。