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ドイツは攻撃的ながら“安全第一”?
センターバック4人起用、2つの理由。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2014/06/20 10:30

ドイツは攻撃的ながら“安全第一”?センターバック4人起用、2つの理由。<Number Web> photograph by Getty Images

ロナウドをマークするメルテザッカー。彼自身は生粋のCBだが、これまではグロスクロイツやラームなどSBを本職とする選手たちとDFラインを構成することが多かった。

グループリーグはすべて海岸沿い、高温多湿の環境下。

「予想される気候では体力の消耗があり、危険な状態になる」

 ボアテンクが気候を問題にしたのには理由がある。ドイツ代表のグループリーグ3試合の日程は以下の通りだ。

6月16日 ポルトガル戦 13時キックオフ 会場:サルバドール
6月21日 ガーナ戦       16時キックオフ 会場:フォルタレーザ
6月26日 アメリカ戦     13時キックオフ  会場:レシフェ

 いずれも海岸沿いで気温と湿度の高い会場での試合が組まれており、気温の高くなる13時キックオフの試合が2試合もある。スペインやポルトガルなどとは違い、ヨーロッパの中でも涼しいドイツの人間からすると、ブラジルの海岸沿いの街の高温多湿なコンディションでの試合は大きな懸念材料となるのだ。

総工費約17億円を投じたキャンプ施設で気候に適応。

 実際、レーブ監督はコンディションについて細心の注意を払っており、多くのチームが試合前日に現地入りするのにもかかわらず、試合の2日前に現地に入るようにしている。

 また、ドイツ代表は理想とするキャンプ地が見つけられず、カンポ・バイーアに総工費約17億円を投じてキャンプ用の施設を建設し、今大会の拠点としている。それは、キャンプ地でリラックスする環境を整えるだけではなくブラジルの気候に身体をフィットさせる必要があったからだ。

 レーブ監督はこう話している。

「もしもサンパウロで普段のトレーニングを行なえばとても涼しいだろう。しかし、それでは試合で気候に適応するのが難しくなるんだ」

 こうした理由からポゼッションを重視した攻撃的なサッカーよりも、ある程度は自陣に引いた上でカウンターを狙う戦いも出来るメンバーをスタメンに送り出したわけだ。

【次ページ】 ポゼッション重視の場合はラーム、クローゼがカギに。

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