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W杯の設備費用は総額1兆4500億円!?
開催国の巨大な負担と、潤うFIFA。 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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posted2014/06/12 16:30

W杯の設備費用は総額1兆4500億円!?開催国の巨大な負担と、潤うFIFA。<Number Web> photograph by Getty Images

ブラジル国内では、ワールドカップを巡る政府の姿勢に対して抗議デモが連日行なわれている。国内では貧富の格差が激しく、それが大会運営や治安に影響がないとよいのだが……。

大きな利益を上げているFIFAからの援助は一切なし。

 もちろん予算の使い方に問題があるのは確かだとしても、ブラジルの混乱は、開催国が負うコストがいかに重いかという現実の一端を物語っています。ではこうした問題を前にして、主催者である国際サッカー連盟(FIFA)が開催国に対して何らかの援助を行なっているかといえば、答えはNO。W杯開催に伴う直接的な資金援助は一切ありません。

 FIFAにはそんな余裕がないのでしょうか? その疑問に答えるため、ここからはFIFAの収支を見ていきましょう。W杯までの4年間単位で区切ってみると、2007~2010年のFIFAの総収入は約42億ドル(4200億円)で、そのうちの実に87%(約3700億円)が2010年の南アフリカW杯に関連する収益でした。W杯という一つの大会への依存度が非常に高いことが分かります。収入の柱となっているのは、放映権(W杯収入の66%)および国際スポンサーシップ(同29%)です。

 約3700億円の収入のうち「支出」はわずか36%(約1300億円)で、残る64%(約2400億円)が「利益」となっていました。これは極めて高収益なビジネスだと言えます。FIFAの発表によれば、W杯によって得られた利益は、その他の大会運営費(アンダー世代や女子などの大会)や、サッカー界発展のための投資に活用されるとのことです。

【次ページ】 リスクを背負う開催国と、ノーリスクのFIFA。

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