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メッシとロナウドに迫る「唯一」の男。
スアレス、その異常なまでの万能性。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2014/05/23 10:30

メッシとロナウドに迫る「唯一」の男。スアレス、その異常なまでの万能性。<Number Web> photograph by Getty Images

ウルグアイでも、リバプールでも圧倒的なペースでゴールを量産しつづけるスアレス。今季もプレミアでイエローカード6枚と危うさは相変わらずだが、得点の魅力は圧倒的だ。

 ルイス・スアレスの傑出した実力は、去る5月5日にFWA(記者協会)選定による2013-'14シーズンの年間最優秀選手賞に輝いた事実が物語る。前年には、道徳的な見地からリバプールのエースを嫌った英国の記者たちが、翌年には過半数を超える票を投じて、プレミアリーグ得点王に表敬せずにはいられなかったのだから。

 27歳のウルグアイ代表FWは、昨季もプレミア得点王争いをリードして終盤戦を迎えていた。最終的な数字は出場33試合で23得点。シーズン最後の4試合にも出場していれば、その得点数は、結果的に個人タイトルを奪ったロビン・ファンペルシの26得点を抜いていた可能性が高い。

 欠場の理由は、昨年4月後半のチェルシー戦(2-2)で、相手DFに噛みついた暴走行為による10試合の出場停止。国内では前代未聞の反則行為に記者席の「立会人」たちは呆れ、スアレスへの投票数はたった2票に終った。

 問題の一戦で解説を務めていたグレアム・スーネスは、元キャプテンの顔で「リバプールの名を汚した」と語気を荒げ、クラブでの将来は考え難いとも言った。メディアでは、プレミアでのキャリアは終わったとまで言われた。

頑として放出を拒否したロジャーズ監督。

 しかしリバプールのブレンダン・ロジャーズ監督は、噛みつき行為は「言語道断」としながらも、頑として放出を拒んだ。国内メディアとCLのないシーズンに嫌気がさしたスアレスが、アーセナルからの獲得オファーを拒否したクラブを「公約違反」と非難しても、チーム練習から除外して反省は促しても、当人の謝罪後には攻撃の主軸としてチーム作りを進めた。

 その結果が、今季の31ゴール12アシスト。第5節までは昨季終盤からの持ち越しで出場停止だったことを考えれば、ますます立派な数字だ。開幕前には予想できなかったリバプールの今季2位は、スアレスの力なくしてはあり得なかった。

【次ページ】 あらゆるバリエーションで4ゴールを奪った「発表会」。

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