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メッシとロナウドに迫る「唯一」の男。
スアレス、その異常なまでの万能性。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2014/05/23 10:30
ウルグアイでも、リバプールでも圧倒的なペースでゴールを量産しつづけるスアレス。今季もプレミアでイエローカード6枚と危うさは相変わらずだが、得点の魅力は圧倒的だ。
ジェラード「スアレスは世界のトップ3」
スアレスを「世界のトップ3」と評するのはスティーブン・ジェラードだ。リバプールのキャプテンは、昨季の時点で「ルイスは(リオネル・)メッシと(クリスティアーノ・)ロナウドに迫れる」と言っていた。
その評価は、激しい闘争心がレッドゾーンに突入することなく終えた今季を経て、「トップ2に肉薄している」へと上がった。ジェラードは、「ワールドクラスの攻撃陣がいるプレミアでも彼が最高」と言ってはばからない。しかも、「“身内”への贔屓はなしで」という注釈付きの発言だ。
奇しくもスアレスは、やはりジェラードがキャプテンを務めるイングランドとブラジルW杯のグループステージで対戦する。ウルグアイのストライカーと言えば、世界的には、CLで知名度を高め、リバプールがスアレスに支払った約39億円の2倍以上の移籍金で昨夏にPSG入りした、エディンソン・カバーニを真っ先に思い浮かべる人が多いかもしれない。
しかし、W杯の組分けが決まった直後のイングランドでは、「スアレスのウルグアイ」と同じグループだとして報じられた。
死の組Dでイングランドとウルグアイは激突する。
事実、南米予選でのチーム得点王は全試合に出場したカバーニではなく、2試合少ない16試合で11ゴールを上げたスアレスだ。ジェラードとその一行は、ウルグアイとのグループD第2節でスアレスにワールドクラスの実力を見せつけられ、16強入りの望みを断たれる危険性もある。
但し、代表キャプテンに涙を飲ませる結果になったとしても、今となっては、イングランドでスアレスが嫌われることはないだろう。ジェラードが言うように、世界屈指のストライカーが、リバプールの得点源としてプレミアでプレーしていることを「ラッキー」と思うことはあっても。