セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
セリエA得点王をかけた3人の戦い。
新星、大ベテラン、そして野生児。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2014/05/14 11:30
ドルトムントへの移籍が有力視されるインモービレ。トリノの会長は放出の意志はないと公言しているが、果たして……。
代表監督も注目、最終選考は6月3日に。
表舞台に立つまでに少し遠回りをした分、今のインモービレには叩き上げの強さがある。プランデッリ代表監督も3月の親善試合スペイン戦で初招集し、インモービレのさらなる成長に期待を寄せる。
「昨季の不調をバネにした彼のガッツが頼もしい。一流ストライカーとしてのDNAを持っている」
ブラジルW杯にむけたイタリア代表の最終選考発表は6月3日に予定されている。インモービレが今年の5月中に予定していた披露宴の約束は、またしても反故になる可能性が高い。
ただし、妻ジェッシカは2度目の延期を嘆くより、再び引っ越しの準備を始めた方がいいかもしれない。このまま戴冠となれば、トリノから'77年のグラツィアーニ以来の得点王誕生となるが、一方でインモービレの共同保有権を持つユーベには、ドルトムント幹部が獲得のための交渉を進めているのだ。
8年前の得点王ルカ・トーニの復活。
初の得点王目前のインモービレを、ベテランの大物2人が僅差で追う。
ベローナのFWトーニは、最終節を前に20ゴールを挙げ2位に浮上した。
今季、昇格クラブと単年契約を結んだ8年前のセリエA得点王は、ミランを破った開幕戦からゴールを量産。残留を早々と確定させると、FWイトゥルベら若いチームメイトたちとともにEL出場権を激しく争った。
32節のベローナ・ダービーで挙げた16点目によって、キエーボへ前半戦のリベンジを果たすと同時に、クラブのシーズン個人得点記録も樹立した。
37歳の誕生日が近づくベテランに、ゴールへの意欲が衰える気配は一向にあらわれない。
4-0で勝利した35節のカターニャ戦で先制点を奪ったが、前半28分の2点目は認められず、オウンゴール扱いになった。トーニは「インモービレを追い抜くチャンスだったのに」と悔しがり、12歳年下のライバルへ対抗心を露わにした。