セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
不倫騒動、そして“遺恨試合”――。
セリエAを騒がせた三角関係の行方。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2014/04/16 10:30
イカルディ(左)とマキシ・ロペスの遺恨対決は、2ゴールを決めたイカルディに軍配。
33節に行なわれたサンプドリア対インテルの一戦は、今季のセリエA最大の“遺恨対決”だった。
ユベントス対ナポリの南北決戦でもなく、ウルトラスの逮捕者が続出するローマ・ダービーでもない。12位のサンプと5位インテルによる一見凡百なカードへ、イタリア中の好奇の目が一斉に注がれたのには、とびきりの理由があった。
キックオフ直前の握手交換で、サンプ側最後尾に並んだFWマキシ・ロペスは、ホストチームのエースFWとしてインテルの選手たちを迎えながら次々にタッチをかわした。だが、マキシは最後にやってきたFWイカルディが中途半端に伸ばした手をスルーした。視線すら合わせようとしなかった。
これは、彼ら2人の果し合いだった。
サッカー選手2人と、金髪モデル妻の三角関係。
愛憎劇の発端は、若い盛りのイカルディが1本の爆弾ツイートを投下した昨秋11月中旬に遡る。
「ワンダ、君を愛してる」
マキシの妻ワンダ・ナラへ向けた愛の告白は、SNSを通じて、あっという間に世間へ広く知れ渡った。イカルディの左腕には、すでに彼女の名がタトゥーとして刻まれていた。
大金を稼ぐサッカー選手2人と金髪モデル妻による三角関係に、ゴシップ好きのイタリア人が飛びつかないわけがない。好奇の目が3人に一斉に降り注いだ。
CLの優勝経験もあるFWマキシは、チームを転々としながら経験を重ねるうちに今年30歳になった。
9歳年下のイカルディとは、昨季サンプドリアでチームメイトだった。自分と同じようにアルゼンチン出身のセンターフォワードとしてバルセロナを経由した後、イタリアで成功しようと奮闘する彼を、マキシは弟のように可愛がった。
先輩としてストライカーの心構えを教えるに留まらず、故郷を離れて暮らすイカルディを不憫に思い、家族ぐるみで弟分の面倒を見た。妻ワンダと3人の小さな子供たちも交え、シーズンの疲れと負傷を癒す夏のバカンスにも誘った。
そこで、イカルディはこともあろうに友人であり、同胞の大先輩でもあるマキシの妻に横恋慕したのだ。