セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
不倫騒動、そして“遺恨試合”――。
セリエAを騒がせた三角関係の行方。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2014/04/16 10:30
イカルディ(左)とマキシ・ロペスの遺恨対決は、2ゴールを決めたイカルディに軍配。
「SNSは俺にとってドラッグさ。やめられないよ」
イカルディは昨年の夏、高い期待をもってインテルへ迎え入れられたが、肋骨のトラブルや鼠蹊(そけい)ヘルニア手術の影響で前半戦の間、ろくに使い物にならなかった。ようやく全体練習に復帰した12月初旬の時点で、ゴール数はわずか2つ。ただし、ワンダ向けにつぶやいた惚気ツイートは742回もあった。
「俺たちのツイートに何の問題がある? 皆やってることだろ。SNSは俺にとってドラッグさ。やめられないよ」
インテルに所属する選手は、フィジカルコンディションとチーム状態に関することさえ書かなければ、SNSへ何を投稿しようと自由だ。
しかし、今、クラブを取り巻く状況は決して芳しくない。会長が18年ぶりに代わり、新監督マッツァーリによるチーム作りは難航。得点力不足に悩む苦難のシーズンにあって、まるで空気を読まない新人FWにインテリスタたちの不満の矛先が向けられても当然だ。
チームメイト、果てはマラドーナからもお叱りが。
トヒル新会長も渋面で、さすがに指揮官マッツァーリも「イカルディには才能がある。だが一流選手になるためには、ミリートやサムエル、サネッティのような人物を手本としなければならない」と苦言を呈し、主将サネッティを初めとするロッカールームの重鎮選手たちも「いい加減にしろ。チームの和を乱すな」とお灸を据えにかかった。アルゼンチン出身の選手たちは同胞間の義理を重んじ、結束が固い。
「イカルディってのは、とんでもない詐欺野郎だ。友達の女をかすめ取るなんて、こんなにひどい裏切り行為が他にあるもんか。俺たちが若かった頃、チームメイトの女に色目を使うやつがいたら、そいつを皆でボコボコにしたもんだ」
終いには、母国からあのマラドーナのきついお叱りを頂戴する羽目になったが、じょじょに出場時間を増やし、先発の座をつかんだイカルディには馬耳東風だった。
アルゼンチン向け飲料CMの撮影ではワンダと2人でイチャつき、サンシーロの試合でゴールすれば「WANDA TE AMO(ワンダ、愛してる)」のTシャツを掲げるようになったイカルディは、32節ボローニャ戦で移籍後初のドッピエッタ(2得点)を達成。いよいよ調子を上げて、古巣サンプの本拠地「ルイジ・フェラーリス」へ不敵に乗り込んできた。