セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
不倫騒動、そして“遺恨試合”――。
セリエAを騒がせた三角関係の行方。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2014/04/16 10:30
イカルディ(左)とマキシ・ロペスの遺恨対決は、2ゴールを決めたイカルディに軍配。
サンプドリアに与えられたPK、蹴るのはマキシ。
18分、サンプドリアにPKが与えられた。蹴るのはマキシだった。
左へ蹴ったキックはややコースが甘く、GKハンダノビッチによって阻まれた。世界で最も憎い男に許した先制点を挽回するチャンスに、マキシが緊張していたのは明らかだった。
2分後には、シミュレーション行為をめぐって両チームの小競り合いが起こり、原因となったMFエデルが退場となった。
10人となったサンプは、4-4-1の1トップにマキシを残し、反撃をあきらめなかった。前後に分断されながらも、カウンターの体勢に一度入れば、シュートは確実にインテルのゴール枠を捉えた。
だが、マキシによる32分のシュートを含む3度の絶好機は、GKハンダノビッチによるスーパーセーブで阻まれた。
DFサムエルが60分に追加点を入れた3分後、インテルは3点目も畳み掛けた。FWパラシオのアシストを拾ったイカルディは、角度のないところから左足で決めた。技ありの一発だった。
数分の後、盛大なブーイングの中を悠然と歩きながら、イカルディはベンチへ退いた。ベンチへ腰掛けると、2試合連続2得点のストライカーは、美味そうにミネラルウォーターを飲み干した。
10枚のイエローと1枚のレッドカードが飛び交った。
イカルディが2点目を決めた直後の64分、マキシもエリア外から惜しい右足シュートを放った。だが、ボールは左ポストの根元をわずかに外れた。
1時間以上、10人で戦い続けたサンプの脚は止まり、踏ん張りきれずにファウルを連発した。
PKを失敗した後、マキシは努めて表情を押し殺してプレーを続けた。後半は、ほとんどボールをもらえなかった。普通の試合なら、とっくに集中力が途切れている。マキシは黙々と体を張った。
79分、インテルFWパラシオにダメ押しの4点目を決められた。通算10枚のイエローカードとレッドカード1枚が飛び交った試合で、サンプドリアは0-4の大敗を喫した。