セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
不倫騒動、そして“遺恨試合”――。
セリエAを騒がせた三角関係の行方。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2014/04/16 10:30
イカルディ(左)とマキシ・ロペスの遺恨対決は、2ゴールを決めたイカルディに軍配。
沈黙を守ったマキシが、試合前につぶやいたこと。
恥辱にまみれたマキシは、昨秋以来、長く沈黙を守った。
世話を焼いた後輩に妻を寝取られただけでなく、妻自身が尻の軽さをSNSで満天下に知らしめているのだから、マキシの胸中にある怒りの激しさと失望の深さたるや想像することすら難しい。
1月に古巣サンプへ復帰すると、地元紙に初めて口を開き、元妻への恨みはないこと、子供たちの平穏だけを願っていることを話した。
「女は当分の間いらないよ。サッカー選手として、自分の道をしっかり取り戻したい」
傷心を抱えながら、2月のジェノバ・ダービーで決勝点を奪ったマキシを、フェラーリスのサポーターたちは熱烈に支持した。
マキシは因縁のインテル戦を前に訴えた。
「もしゴールすることができたら、それを子供たちへ捧げたい。彼らこそ俺の力の源なんだ」
そして、プロサッカー選手という公の立場にある人間の一人として、SNSというメディアに理解を示しつつ、イカルディとワンダが未成年の子供たちの写真を晒し続けることには承服できない、と述べた。子供たちのプライバシーを最低限守ってやってくれ、という父親としての願いだった。
「あんたはその子供たちと何日も会ってないくせに、子供たちが何の力になる、ってんだ?」
イカルディからの返答は、ツイッター上での挑発だった。
遺恨対決は大荒れのゲームに。
遺恨対決は、大荒れのゲームになった。
試合開始後わずか13分、右足ボレーで先制点を決めたのはイカルディだった。
“何か文句あるのかよ?”
“外野はせいぜい吠えてろよ”
にやけ顔で見せたゴール後のジェスチャーによって、スタジアム全体が激高した。度の過ぎた挑発行為としてイカルディには警告が出された。