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CL敗退、バルサ黄金期の終わり。
時代はペップの“真クライフイズム”へ。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byREUTERS/AFLO
posted2014/04/11 15:00
バルサはボール保持率ではアトレティコを上回っていたのだが……。メッシの運動量も極端に少なく、イニエスタの途中交代も議論を呼ぶこととなった。
今度こそ「バルサ黄金時代」に区切りがついたと言っていいだろう。
4月9日、バルセロナはCL準々決勝・第2レグでアトレティコ・マドリーに0対1で敗れ、トータルスコア1対2で大会から姿を消した。ライカールト監督の最終年となった'07-'08シーズンから続いていたベスト4進出がついに途絶えたのである。
特に黄金時代の終焉を感じさせたのは「負け方」だった。
アトレティコの前線からの激しいプレッシャーに慌てて、DFラインからの正確なビルドアップがほとんどできない。苦し紛れにサイドへ長いパスを出さざるを得ず、「ボールキープの名人」イニエスタでさえも前後から挟まれて奪われるシーンが目についた。
黄金時代のバルサであれば、どんなに圧力をかけられても闘牛士のように突進をかわし続け、途中からは相手が嫌になり、気がつけばプレスの嵐が止んでいた。バルサ相手のプレスは体力の無駄にしか思えなかった。
だが、アトレティコとの第2レグにおいて、センターバックのマスチェラーノとバルトラ、そしてアンカーのブスケッツは簡単に追い込まれてしまっていた。ピケが第1レグで負傷して不在だったのは誤算だったが、大前提となる“つなぎ”が狂えば、全体の設計図が成り立たなくなってしまうだろう。
かろうじて敵陣深くに侵入できても、バルサらしさは発揮されなかった。
辛抱強くパスで揺さぶって隙を探すという「気高い意志」が感じられず、一か八かのクロスを放り込むシーンが目立った。センターフォワードの位置にいたメッシ、途中からメッシとポジションチェンジしたセスクはヘディングが武器ではなく、簡単にアトレティコのDF陣に弾き返されていた。
「パーフェクト・フットボール」から遠く離れて。
個人的に驚いたのは、バルサのパスまわしにおける1タッチパスの少なさだ。
以前ならば、ボールを持った選手の近くで味方が小まめに動いて1タッチのパスコースを作っていたが、アトレティコとの第2レグでは、その地味で献身的な作業をする選手が少なかった。これでは相手に食いつかせて、ブロックに穴を開ける……という得意の崩しはできない。自分たちのDFラインがプレスに簡単に追い込まれたのも、中盤のパスコース作りの“さぼり”と無縁ではない。シャビが軽やかにバックステップを踏むシーンもほとんど見られなかった。
敵の視野から消える動きが少なく、相手を背負ったままボールを受ける場面も多かった。これもバルサらしくない。ユニフォームとエンブレムはバルサでも、やっているサッカーはグアルディオラ時代の「パーフェクト・フットボール」から程遠いものだった。