プレミアリーグの時間BACK NUMBER
見逃せない3クラブの優勝争い。
リバプールは残り試合全勝が必要だ!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty images
posted2014/04/04 10:40
アカデミーからリバプール一筋。1998年にトップデビューした“クラブの象徴”ジェラード。優勝は彼にとっても悲願だ。
代表キャプテンと、全国民の「第2のご贔屓」。
但し、巷の優勝予想には心情的な背景もあるはずだ。そもそもリバプールは、全国民の「第2のご贔屓」と言われる。永遠の宿敵であるはずのマンチェスター・ユナイテッドのファンの間でさえ、自軍がトップ4も望み薄の今季に限っては、リバプールの優勝を望む声が聞かれるほどだ。しかも優勝が実現すれば24年ぶりで、1992年から「プレミア」の冠を戴くようになったトップリーグでは初めてときている。
中立的な立場の人々の中には、成功を金で買ったと理解されているチェルシーやマンCとは違い、今季もラヒーム・スターリングとジョン・フラナガンのようなユース出身者が、それぞれ右ウィングと左SBで台頭したリバプールの優勝を、モラル面で好む者も多いに違いない。そして何より、リバプールのリーグ優勝は国民がイングランド代表キャプテンとして絶大な支持を寄せる、スティーブン・ジェラードの悲願でもある。
優勝争いを経験したマンC、チェルシーに分があるか。
だが客観的な見方をすれば、その悲願が達成される可能性が「57%」ほど高いとは思えない。理由は、リバプールが「未体験ゾーン」で残る1カ月強を過ごすからだ。
「最後まで僅差で優勝を争うプレッシャーは、経験した者にしか分からない」と言うのは、『マッチ・オブ・ザ・デー』の解説者で、'90年の前回優勝時にキャプテンを務めていたアラン・ハンセン。残る6試合に全勝すれば優勝できる今季だが、四半世紀近くもリーグ優勝から遠ざかっていたチームでは、プレミア監督3年目のロジャーズはもちろん、生え抜き33歳のジェラードも、そのプレッシャーを克服した経験がない。
対照的に、やはり自力優勝が可能なマンCと、ライバルの敗戦頼みではありながら優勝に現実味を残すチェルシーでは、プレミア優勝経験者がリーダーシップを発揮できる状態だ。そしてリバプールは、いずれもホームゲームではあるがこの両軍との直接対決を残している。
マンCとの決戦は4月13日。敵の前線には、エースのセルヒオ・アグエロが怪我から復帰しているだろう。選手層の厚さを誇るマンCは、アグエロを欠いた3月半ば以降のリーグ戦4試合も計11得点の3勝1引分けで乗り切った。前線ではエディン・ジェコが3ゴール。中盤では、スアレスと年間最優秀選手を競うヤヤ・トゥーレが4ゴール1アシストの活躍だった。
懸念された守備も改善されつつある。アーセナル戦での1失点は、2月上旬のチェルシー戦(0-1)から約1カ月半ぶり。その間の零封勝利には、守備の要であるCBバンサン・コンパニが前半早々に退場となったハル戦(2-0)も含まれている。