プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ルーニー、新契約で週給5000万円!
それでも最後に笑うのはモイーズ?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2014/03/07 10:30
練習中に談笑するルーニー(左)とモイーズ。しかしCLベスト16第1レグではオリンピアコスに0-2で敗戦。来季のCL出場は厳しくなった。
経営陣はモイーズ支援の構えも、ファンは辛辣。
そしてなにより、ルーニーの残留決定はモイーズ体制の今後に希望をもたらす。2月を4位リバプールから11ポイント差の6位で終えたチームの新監督には、さすがにファンの意見も厳しくなるばかり。メディアでは、若手のユルゲン・クロップ(現ドルトムント)からベテランのルイス・ファンハール(現オランダ代表)まで、噂の後任候補の名前が挙がるようになった。
だがマンU経営陣は、オーナー以下、揃ってモイーズ支援継続の構え。役員としてクラブに残っているファーガソンも、3月頭の訪米中に「27年間も続いた私の後を継いだのだ。時間が必要なのは当たり前。心配はしていない」と、自ら選んだ後任を擁護したばかりだ。
6年契約のモイーズは、ルーニーを軸に復権を目指す。
今回の契約は、その後任監督が昨夏からのルーニー離脱説に終止符を打ち、「モイーズのマンU」の核が誰であるかを改めて明確に示したことになる。来季はキャプテン指名が濃厚と見られ、新契約では引退後の「マンU親善大使」就任も約束されている。自身も6年契約で長期展望のモイーズは、ルーニーという看板を掲げて新たな時代を築く覚悟だ。
「彼は監督としての私の在り方を理解している。このままでは終わらないことも知っている」と信頼を寄せる指揮官と、「マンUで現役キャリアを終えられるのは監督のおかげ」と感謝を表明する主役との距離は、モイーズがルーニーをユースから引き上げたエバートン時代から近い。
さらに今夏の移籍市場で、最優先課題の守備の梃入れと共に、前線にも即戦力を加えることは考えられる。トニ・クロース(バイエルン)、マルコ・ロイス(ドルトムント)といった攻撃的MFの名前も噂に上がっている。プレミア最高給でのルーニー残留は、その1カ月ほど前に年俸倍増でチェルシーから移籍したマタの加入と共に、大物に対する強力な説得材料だ。実力の高さが十二分に待遇で評価される「宣伝」も同然なのだから。