守備のリズムが崩れ、それが攻撃にも影響。

　後半8分、ゴール前に持ち込んだところでボールを失い、そこから酒井高と細貝の右サイドが突破されてクロスを送られている。

　17分には左サイドから。サイドで起点をつくられてアーリークロスを入れられるなど、ヒヤリとさせられるシーンは一度や二度ではなかった。

　前半では見られなかったようなパスミスが目立ち、カウンターにさらされた。全体が間延びするようになり、こぼれ球も拾えなくなった。

　いい守備がいい攻撃を生んだのが前半だとすれば、後半は、乱れた守備のリズムが攻撃にも影響していた。

　適距離が保てないため、昨年11月のオランダ、ベルギー戦で見せていたテンポのいいパス回しも影を潜めてしまう。マンチェスター・ユナイテッドで出場機会が激減している香川、そしてACミランで結果を残せていない本田という苦悩の大黒柱2人も後半に入ると動きが落ちた。遠藤が前めのポジションを取って打開を図ろうとしても、フィニッシュにはうまく結びつかなかった。

　そして後半35分。左サイドからクロスを入れられ、森重がマークに付ききれずにウッドに右足で合わせられてしまう。クロスに対応する中央の守りにも課題が残ったが、あれだけクロスを入れられてしまっているのだから、上げさせない守備も必要だったはずだ。しかし、日本にはその集中力と共通認識が欠けていた。

失点は偶然ではない。「予兆」は確かにあった。

　1失点目も2失点目も、決して偶然ではない。「予兆」はあったのだ。しかしながらそれを見過ごしてしまっていた。

　前半で交代した岡崎はこう課題を口にしている。

「相手に対してずっとプレッシャーに行っていて、間延びして相手にやられたところもあった。W杯だと警戒しなきゃいけないところ。引くときには完全に引いたほうがいいと思うし、そこらへんのメリハリが足りなかった」

　遠藤は、コンパクトさを維持することの大事さを強調する。

「アーリー（クロス）とかを入れられたときのセカンドボールへの反応だとか、そういうのはこれからも想定されるところだし、ディフェンスライン、中盤、一番前と全体的にコンパクトにして動く必要はあるとは思う」

【次ページ】　W杯へのサバイバル、目立ったのはやはり「主力」たち。