日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
NZ相手の2失点は偶然ではない。
ザックJが見逃した危険な「予兆」。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/03/06 12:35
自ら獲得したPKでゴールを決めた香川真司。マンチェスター・Uでは出場機会が激減し苦しいシーズンを過ごしているが「いい形でマンチェスターに帰れる」と手応えを示した。
W杯へのサバイバル、目立ったのはやはり「主力」たち。
前半に4点取ってからの勝負で、日本は相手の心を折ることができなかった。その後は1点も奪えず、逆に2点を奪われたところをやはり注視していくべきだろう。コートジボワール、ギリシャ、コロンビアという国々を相手にするW杯のグループリーグを考えれば、現状のままではグループリーグを突破できるイメージはなかなか持つことができない。
また、この試合はW杯メンバー発表前の最後の試合となった。
山口と青山のダブルボランチはいいアピールになったとは思うが、欲を言えば長谷部や遠藤のように、前に出ていって攻撃の持ち味を見たかった部分もある。チームの約束事を重視する以上、仕方のない部分もあるのだが。
ただ一番目立ったのは、当落線上にある選手やサブのメンバーたちよりも、2点取った岡崎であり、長友であり、「主力」の選手たちだった。右サイドバックで言えば、酒井宏も酒井高も、内田篤人以上のインパクトを残せなかった。細貝も常連の意地を見せられなかった。ここまでサブメンバーとして頑張ってきた分、彼らには発奮してもらいたかっただけに、それが少し残念だった。
国立の夜空が、最後に教えてくれたこと。
泣いても笑っても、W杯本大会まであと3カ月しかない。オランダ、ベルギー戦で見せた戦いに上積みしていかなければならない。個のレベルも、組織のレベルも。
厳しい表情のまま、長友は言った。
「僕が目指しているのはもっと先だし、正直言って物足りない。でもみんながトップを目指してイメージすれば、行ける場所になると思う」
誰もこの結果に納得していない。
気を引き締め直して、本気になって本大会に向かわなければ、栄光など掴めない。
雨上がりの国立の夜空が、ザックジャパンに最後に教えてくれたことだと思う。