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初のACL、久々の国際試合、完敗。
中村俊輔はなぜ楽しそうだったのか。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2014/02/27 12:00
執拗なマークを受けながらも前を向いてプレーし続けた中村。前半はなんとかしのいだが、後半のわずか10分間で3点という、続けざまの失点で完敗した。
全北現代の韓国らしい前への推進力に苦しんだ90分。
ACL常連クラブであり2006年には王者に輝いた全北現代は、代表監督を務めていたチェ・ガンヒが指揮官に復帰。攻撃的なスタイルが持ち味のチームだ。
「ブラジル人選手は前に速いし、パスを繋いでサイドからのクロスもあるし、カウンターも持っている」と中村も手ごわい相手であることを試合前から認めていた。
そして、試合当日。
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元韓国代表のキム・ナミルやイ・ドングッはベンチ入りもせず、10番のブラジル人選手、レオナルドもベンチスタート。対するマリノスは伊藤翔を1トップに置き、ドゥトラに代わり下平匠を起用、藤本淳吾ではなく、守備に強い三門雄大をピッチに送った。
中村が試合を振り返る。
「相手は前への推進力が大きい。韓国のチームらしく、単純に長いボールでセカンドボールを拾うアグレッシブさもある。たとえ曖昧なところでもボールを蹴って、セカンドボールを拾ってというのを繰り返して、相手の陣形を分散させて、自分たちの運動量とかで、チャンスを作ってきた。こっちもそれに対応しつつ前半はやれていたけれど……1点目を決められて、今までコツコツやってきたことが崩れてしまった。
どんなに攻められて、耐えているだけであっても、ひとつかふたつ希望の光じゃないけれど、何か強みを見せなくちゃいけないのに、今日はそれが見当たらなかった。(齋藤)学の良さも出なかったし、遅攻で繋いで各駅停車みたいな感じで、3人目の動きとか、機動力とか、連動性とかを見せられなかった」
「相手の良さを出させなかった」と語った敵将。
なんとかクリアーしても、そのボールに反応する味方が少ない。敵にボールを拾われて、波状攻撃が続く。前半20分過ぎくらいから、相手の猛攻が落ち着き、横浜が攻める時間もあったが、帰陣の速い全北現代の守備を崩せない。中村がセカンドボールを拾っても、強いプレッシャーで封じられる。パスを出そうにも味方がいない。敵将が「相手の良さを出させなかったことが、この勝利につながった」と振り返る通りの内容で、FKやCKなどセットプレーのチャンスはあったものの、流れの中からチャンスを生みだすことは出来なかった。