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お家芸、男子500mでオランダに完敗。
日本のWエースを襲った「想定外」。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2014/02/11 12:00
長島圭一郎は1本目で3位につけていただけに、2本目の第一カーブで足を滑らせたミスが悔やまれる。
長島を待ち受けていた、魔の第1カーブ。
しかし、最終組のインスタートで滑った2本目。長島は最初の100メートルで伸び悩むと、課題としてきた第1カーブでミスを犯した。アウトスタートから追い上げてきたスメーケンスにバックストレートで追い抜かれると、第2コーナーではさらに差を広げられた。
2本目は35秒25で16位というまさかのタイム。合計70秒04で表彰台を逃した。スタンドで日の丸を振って応援してくれた家族の前を通ったときは両手を合わせて「申し訳ない」という表情を見せた。
「ずっと課題としてきたのが、インスタートの第1カーブ。いろいろ試してきたのですが、4年間で一回もしっくり来なかった。実力のなさ、それだけです。金メダルというのが絶対だったので、応援してくれた人には申し訳ない。旅費を全部払いたい気持ちです」
予想をはるかに超えていた、オランダ勢の速さ。
一方の加藤は、1本目のスタート2歩目で躓き、34秒96の5位と出遅れた。2本目で34秒77の好タイムを出したが、順位は5位のまま変わらない。
ただ、長島と同様に加藤も大失敗したというわけではない。確かに1本目はスタートで失敗したが、メンタル面から自滅したというわけではない。
加藤も、2本目に低速リンクでは自己ベスト2番目のタイムを出している。体調も悪くなく、良い準備ができていたというが、それでもオランダ勢とは明らかな差があった。
「オランダが抜け出していて、完全に負けてしまった。僕自身は、コンディションの方はかなりうまく作ってきて、ほぼベストの状態で挑んだつもりなのですが、それでも一歩届きませんでした。今感じているのは、結果が悪すぎたので、せっかく応援に来てくれた人たちに応えることができなかったということ。それが心残りです」