ソチ五輪EXPRESSBACK NUMBER
お家芸、男子500mでオランダに完敗。
日本のWエースを襲った「想定外」。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2014/02/11 12:00
長島圭一郎は1本目で3位につけていただけに、2本目の第一カーブで足を滑らせたミスが悔やまれる。
Wエースの敗因を、首脳陣はどう見ているのか。
ダブルエースの敗因を日の丸スケート陣営はどのようにみているのだろうか。
今村俊明コーチは「負けたのは力がなかったということだと思う」としながら、そのうえで、オランダ勢の速さが想定外の域に達したことを敗因に挙げた。
「長島は低地の自己ベストを出したし、加藤もベストから2番目のタイム。でもそれ以上に、低地リンクでは考えられない、34秒5というタイムをオランダ勢が出した。爆発力がすごかった。日本としては、モ・テボン(韓国)に負けたことも良くなかった」
とはいえ、最後まで諦めずに戦ったという事実は、胸に刻んでおきたいことだ。加藤は言う。
「1本目の(首位と0秒37という)差は相当致命的だったので、金メダルはなくなったと思ったけど、2本目は何とかメダルに届くかどうかという挑戦のつもりでやった。自分としてはベストなことをやってきたと思っているが、オランダのタイムは予想を超えていたということ」
「500も5000も全部オランダに持って行かれた……」
男子500メートルは、1984年サラエボ五輪から2002年ソルトレイクシティー五輪まで6大会連続でメダルを獲得してきた日本のお家芸種目。2006年トリノ五輪でメダルを逃した後は、必死の強化で2010年バンクーバー五輪での表彰台復帰を果たした。しかも2つのメダル獲得だった。
今、加藤29歳、長島31歳。円熟の心技体で日本を牽引してきたダブルエースが3度目の五輪で突き付けられた厳しい現実を、日本スケート界はどのように受け止め、消化していくのか。
「500も5000も全部オランダに持って行かれた……」
長島の言葉が重く響いた。