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ローマに首位追撃の秘密兵器が加入。
“Ninja”ナインゴランの数奇な人生。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2014/01/22 10:40

ローマに首位追撃の秘密兵器が加入。“Ninja”ナインゴランの数奇な人生。<Number Web> photograph by Getty Images

当初はインテル入りが有力視されていたナインゴラン。ローマはこの補強を首位追撃の契機にできるか。

入団会見で明かした、W杯への強い思いいれ。

 今季のローマの快進撃をベルギー代表監督ビルモッツが注視していないはずがない。

 年代別代表に選ばれ続けてきたナインゴランがフル代表にデビューしたのは、2009年5月、日本でのキリンカップ(対チリ戦)に遡る。カリアリの知名度の低さに愚痴をこぼしながら、代表へ定着し損ねた間に、“赤い悪魔”は世界ランキングで大躍進を遂げた。

 ナインゴランが最後に招集されたのは、昨年11月の親善試合日本戦だ。本大会出場メンバー入りへ競争は激しいが、ローマへの入団会見で残り4カ月の猛アピールを誓った。

「スクデットを獲って、ベルギー代表に復帰したい。ライバルは多いけれど挑む意味はある。ブラジルW杯に行きたいんだ」

 女手一つで育ててくれた母リジィを4年前に亡くした後、ナインゴランは昨年の夏、生まれて初めて父祖の地インドネシアを訪れた。

 待っていたのは、地元の血を引く英雄への大歓待だった。要人との会談やスポーツ施設訪問を連日こなし、ジャカルタ選抜に加わってインドネシアU-23代表とのエキシビジョンマッチにも参加した。

 心を尽くしたもてなしがラジャの胸を打ち、父へのわだかまりは薄れた。母の命日は、ナインゴランの背中にタトゥーとして刻まれている。

 新たな主ローマとともに狙う今シーズンの逆転スクデットが、W杯への道を開くことをナインゴランは知っている。ヘディングが苦手で派手なゴールは少ないけれど、任されたタスクは確実に遂行する。託された期待には必ず応える。

 任務に忠実な“Ninja”ラジャ・ナインゴランは、王者ユーベに挑むローマの秘密兵器なのだ。

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