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清原、秋山、石井を越えるその才能。
中村剛也が60本打てないはずがない。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/01/06 10:30

清原、秋山、石井を越えるその才能。中村剛也が60本打てないはずがない。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

復帰直後から豪快なスイングでホームランを見せた中村剛也。万全で挑む来シーズンは何本アーチを放つのだろうか。

「おかわり君は、ぜんぜん振ってるように見えない」

 中村も2011年に、似たような話をしていた。

「飛ばない、飛ばないっていう報道がバンバン出ていたので、自然と力んでいた。でもあるとき、詰まっても飛ぶんだなというのがわかった。そこから打席の中で余裕を持てるようになった」

 中村のホームラン打者としての歴史は「いかに軽く振るか」との戦いでもあった。

「最低限、振れる力で振りたい。7割、8割ぐらいの感覚ですかね」

 これがいかに難しいことか。千葉ロッテの井口資仁が中村のスイングをこう絶賛していたことがある。

「おかわり君は、ぜんぜん振ってるように見えないんですよね。かるーく振ってる感じ。それできれいにバットにボールを乗せて運ぶ。あれはなかなかできない。(阿部)慎之助なんかは、ブンブン振ってるように見えるからね」

 軽く振る技術がいかに繊細なものかを物語るエピソードがある。東日本大震災があった2011年のオールスター第2戦で、中村は2本塁打しMVPに選ばれた。だがその後、シーズンに入ってからしばらくスランプに陥った。

「特別なオールスターでしたからね。空振りでも沸かせたいなと思って、普段はしないようなフルスイングをした。でもお蔭でスタンスが広がって、ブレが生じるようになってしまった。嫌な感じはしてたんですけど」

少なくとも、あと4年は日本で中村が見られる。

 バットの材料の違いにも中村の打撃の特徴がよく表れている。バレンティンはメープルの中でも特に硬質な素材を好んで使っているのに対し、中村は「メープルは反発しちゃうので」としなりがきくアオダモにこだわる。

「バットに長い時間、ボールが接地している感覚を大事にしたいんです。どれだけバットをしなやかに、やわらかく使えるか。それを追求してる。僕はパワーではなく、技術で打ってると思ってるんです」

 今季は26試合で、わずか4本塁打にとどまった。だが来季、万全な状態で、さらに軽く振っても入る感覚をつかんだなら――。

 中村は先日、西武と4年総額20億円の複数年契約を結んだ。少なくとも、あと4年は日本でやるということだ。

「飛ばないボール」で48本も打った男である。言ってみれば、中村は日本の打撃技術の粋を結集した究極のホームランバッターだ。バレンティンは「飛ぶボール」になって、今季、2012年の31本から倍の60本に伸ばした。さすがに倍までは無理でも中村なら少なくとも60本、打てないはずがない。

 来季から4年間の中村の成績を考えると、夢が尽きない。

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