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楽天が20億円以上を手にする“秘策”。
「パッケージ・ディール」って何?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAP/AFLO
posted2013/12/19 11:35
MLBとのミーティング後に、米メディアに田中投手の移籍について語る立花陽三球団社長。ゴールドマン・サックス、メリルリンチなどに在籍したビジネスマンの本領を見せられるか。
楽天・田中将大のポスティングをめぐっての処遇が、意外にも長期化の様相を見せてきた。
当初は、田中がメジャーへの移籍を希望した時点で楽天は送りだすという予想を立てていたのだが、「球団で預からせて欲しい」という立花陽三球団社長の言葉通り、ボールは楽天に預けられた状態になっている。
解決の見通しは立っているのか。
12月18日、楽天の安部井寛スカウト部長が「容認ありき、の話ではないです」とした上で「球団内でそんなに簡単に調整できる話ではないので、長引く可能性はあります」とコメントした。
そして私が注目したのは、次のコメントだった。
「新制度は、以前とは違うもの。これから議論を重ねていかないといけない」
当然、議論の中身が気になってくる。普通に考えれば、20億円が妥当か否か。
ところが、違った視点からの検討を行っているかもしれない――。そんな気がしてならないのである。
米記者が示唆した、楽天が20億円以上を手にする方法。
そう考えるようになったのは「ベースボール・アメリカ」のベン・バドラー記者が「楽天が20億円以上を得るクリエイティブな方法がある」という記事を書いていたからだ。バドラー記者は「これは現実的に進んでいる話ではない」と前置きした上で、次のような方法を示唆している。
楽天は田中を20億円でポスティングする
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楽天は「主力級ではない、もうひとりの支配下選手」を、たとえば15億円でポスティングする
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田中と「もうひとりの選手」は同じ代理人にメジャーリーグの球団と交渉してもらう
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田中は複数年で約100億円の年俸で移籍する
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もうひとりの選手は、年俸1億円程度で田中と同じ球団と契約する
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その結果、楽天には35億円のポスティング・フィーがメジャーの球団から支払われる