詳説日本野球研究BACK NUMBER
落合大減俸とポスティング問題。
今オフ2大騒動の本音とタテマエ。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/12/19 10:30
大鉈を振るった落合GM。常々「プロ野球は契約社会」と語っていたが、監督時代の面倒見のよさとは全く異なる顔を見せた。
もう1つの話題のポスティングは、上限20億円に。
もう1つの大きな話題、日米間の新ポスティングシステムは12月16日、12球団で構成される実行委員会で決定され、MLB側の承認を待つだけとなった。
新制度は日本の当該球団が2000万ドル(約20億円)を上限に移籍希望額を決定し、その金額を了承したMLB球団と交渉するというもので、契約成立後に移籍希望額は当該日本球団に支払われることになる。
新ポスティングシステム導入が取り沙汰される前、田中への入札予想額は100億円とも噂されていた。「資金力で劣る球団でも日本人の大物選手と交渉できるように」というMLB側の要望で今回のシステムは考えられたわけだが、ポスティングシステムでのMLB球団移籍を控えていた田中将大投手を擁する楽天球団は一時期、新システムに猛反発した。日本のマスコミも「上限20億円」案に対して「日本大損ポスティング案」との見出しを掲げNPBの弱腰交渉を非難し、世論の反応もおおむねスポーツマスコミが誘導する方向に動いている。
チームには損でも、選手にはむしろよかったのでは?
100億円が20億円に減らされれば損に決まっているが、MLB各球団がこれまで日本人選手に支払ってきた入札額や年俸が、果たして適正額だったのかはなはだ疑わしい。井川慶、川上憲伸、小林雅英、田中賢介、中島裕之、中村紀洋、西岡剛、福留孝介、藤川球児、和田毅……等々、成功選手の陰で失敗した選手も多く、松坂大輔にしてもレッドソックスが支払った60億円に見合った活躍をしたかどうか疑わしい。私は20億円という金額は選手の精神的負担にならない適正な金額で、田中にはむしろよいのではないかと思っている。