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ダルが語る、田中移籍の重大要素!
球場による投手の有利、不利とは。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2013/11/24 08:01
ダルビッシュのレンジャーズがホームとする、レンジャーズ・ボールパーク・イン・アーリントンは投手打者にフェアな球場。彼の活躍は、実力通りということだ。
ポストシーズンは投手優位の球場を持つチームだらけ。
上位に並んでいるチームは、打者優位の球場。下に行けばいくほど、投手優位の球場となる。
1位のロッキーズは、ロードに比べ、ホームで戦った場合に得点力が1.273倍になる、と考えてもらえればよい。
反対に、30位のパドレスの場合、本拠地に帰って来ると、およそ17%も得点力が減退してしまう。投手にとっては天国のような球場だ。
気がついたのは、今季ポストシーズンに進んだ10チームのうち、打撃優位の球場を本拠地に持つチームは、タイガースしかいない。あとはすべて、投手優位の球場を持つ球団ばかり。
「野球は投手力」というのは、この数字からもわかる。
早くポスティング問題の解決を願わずにはいられない。
田中にとっては、投手優位の球場に移籍出来れば環境的には有利になるが、ポスティングによる移籍がつらいのは、こうしたボールパーク・ファクターなどを考慮して球団を選べないことだ。
FA権を獲得した選手であれば、こうした要素も含めて移籍先を検討できる。FA権の意味合いは、日本とは比較にならないほど大きい。
アメリカでは、打者は特に広い球場を持つチームを嫌う。マリナーズのセーフコ・フィールドは投手優位で有名だったが、フェンスを前に出すことでパーク・ファクターがずいぶんと改善された。
さて、田中は投手優位、打者優位、どちらの球場を本拠地とするだろうか? その前に、早くポスティングの問題を解決してくれよ……と思わずにはいられないのだが。