サッカーの尻尾BACK NUMBER
CKからは28回に1点しか生まれない!
バルサファン考案の大胆なCK対策。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byGetty Images
posted2013/10/25 10:31
ポゼッションサッカーという戦術を考えれば、一番のCK対策は「CKを与えないこと」になるのだが……。
モウリーニョ時代にも見られた“引き算”の戦術。
数年前、モウリーニョがインテルの指揮を執っていた頃、似たようなCK対策をしていたことを思い出した。CK時、モウリーニョは選手たちに上がれ上がれと身振り手振りで伝えていて、選手たちはどこかきょとんとした表情で、その思い切った指示に従っていたのを覚えている。
ゾーンなのかマンマークなのか、あるいはそのミックスなのか──。
ジョセップさんはそこではなく、いかにして相手をエリア内から遠ざけるかに着目した。
メディアはバルサのセットプレーの弱さを「高さの欠如」と結論づけ、やれ誰を獲るべきだ、来季はフンメルスがくるから大丈夫だ、などと騒いでいる。そんな中、ジョセップさんは新しい発想を提案したのである。
たしかに理にかなっている。守備にマンマークを取り入れても画期的に変わるとは思えないし、現在のバルサの選手の身体的特徴を考えると、相手選手の数を減らす方がよっぽど得策だ。
もちろん、すべて計算通りに相手が動くわけではない。4人を前に並べたとしても、必ずしも相手が5選手を自陣に引かせるとは限らないからだ。
特にバルサがリードしている展開(特にリーガでは大抵そうなる)では、相手にとってセットプレーは大きなチャンスだし、カウンターからの失点よりも同点にすることに重きを置くかもしれない。
そもそもCKによる失点のリスクは非常に低い。
しかしこのジョセップ案を個人的に推す理由はもうひとつある。
それが、CKは実はそれほど有効な得点手段ではないという事実だ。
先日、スペインのア・コルーニャ大学のトニ・アルダ教授が興味深い論文を発表した。
近年のチャンピオンズリーグ、ユーロ、ワールドカップの計124試合のCK計1270本の内で得点となったのは、わずか2.2%に過ぎなかったのである。