スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
「ファウルは女友達のようなものさ」
ネイマール“ダイブ”論争の行方は?
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byREUTERS/AFLO
posted2013/10/18 10:32
バジャドリーとの試合でも執拗なマークを受けたネイマール。彼のドリブルが相手にとって脅威である限り、この問題は決して終わることはないだろう。
ブラジル時代はよく“ダイブ”していた、という証言。
その点については先日、彼の知人である元バルセロナ選手のエジミウソンが次のように語っている。
「ブラジル時代のネイマールはよく“ダイブ”していた。今もまだ当時の癖が残っているよ。とはいえ、彼へのファウルのほとんどはディフェンダーの対応の遅れによって生じているけどね」
またチームメートのシャビ・エルナンデスはこう言っている。
「マドリーの連中は彼にネガティブなレッテルを貼ろうとしているんだろう。全てのスポットライトが彼に集中しているけど、実際はテアトロなんてしない」
シャビは元々の先入観に加え、悪意ある報道がネイマールのイメージを誇張しているとまで考えているようだ。それは一部カタルーニャ系のメディアも同じで、『スポルト』紙はこれらの批判がネイマールに対するネガティブキャンペーンだと主張し、彼の身の潔白を証明することに躍起になっている。
だが現状は、ネイマールがシミュレーションを行なった証拠がないこともあり、今のところマドリー系のメディアといえども大々的にネイマールを批判することは控えている状況だ。
バルサ加入後は、可能な限りプレーを続行している?
その筆頭である『マルカ』紙は「ネイマールは信用されていない」との論調で先述の批判コメントを紹介しているものの、ネイマールのバルサでのプレーについては賞賛する記事の方が目立つ。その傍ら、現役時代のネイマール父が“ダイブ”した映像をウェブサイトに掲載するところなどはさすがではあるが。
世論も今回の批判についてはネイマールに同情的だ。『マルカ』紙がウェブサイトで行ったアンケートでは、ネイマールが大袈裟に“ダイブ”しているとの回答は36.1%にとどまった。
いずれにせよ、バルサ加入後のネイマールは重なるファウルに苛立ちを見せることはしばしばあるものの、ブラジル時代に名を馳せたような“ダイブ癖”はほとんど見せなくなったように思える。むしろ多少のファウルでは倒れることなく、可能な限りプレーを続行している印象の方が強いくらいだ。