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勝負を決めたのは球場の“気分”!?
CSを巡る西武対ロッテの空気を読む。 

text by

阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

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posted2013/10/12 06:01

勝負を決めたのは球場の“気分”!?CSを巡る西武対ロッテの空気を読む。<Number Web> photograph by KYODO

青いジェット風船を放ち盛り上がる西武ファン。西武は1回、2回、4回、6回、8回と得点を重ね、10-2でロッテに大勝し、2位を死守してCSホーム開催を手にした。

「負けられない」気分が退潮した瞬間。

 2死を取ったあと二塁打を許した成瀬善久だが、つづく打者はショートへのゴロに打ち取った。これでチェンジと思われたが、あたりは不規則なバウンドで転がり、そこにスタートを切った二塁走者が横切ったこともあって、マリーンズのショートの鈴木大地は捕球はしたものの、三塁へも一塁へも送球できず、走者が残ってしまった。

 この回はなんとか抑えた。成瀬はそう思ったはずだ。初回こそ本塁打を打たれたが、のらりくらりの投球は久しぶりを感じさせない成瀬本来のものだった。この回をあっさり切り抜ければ自らのペースでライオンズをかわすことができたかもしれない。

 走者が残ったことで、絶対に抑えなければの気持ちが強まり、タイムリーを許す。これで1対4。

 劣勢だったが、まだマリーンズの「大きな試合」仕様の気分は残っていた。3回裏のライオンズの攻撃で、センターの岡田幸文がみごとな本塁への返球を見せてライオンズの追加点を阻んだ。大きな試合の分かれ目になりそうな大きなプレー。そのあとの回で1点を返し、譲れない大きな試合、大事な試合というマリーンズ側の気分はライオンズに肩を並べる。

 つづく4回からリリーフに唐川侑己とならぶ先発の勝ち頭、西野勇士が立ったことでマリーンズの追撃気分はライオンズを上回るほどだった。

試合の結果を左右する空気、CSではどう動く。

 だが、その西野の投球が気分を一挙に「小さい試合仕様」に引き下げてしまう。先頭打者に安打を許したあと2死まで行ったものの、そこで踏みとどまれず、3連打を許して決定的な3点を奪われた。成瀬、西野のふたりが許した7点はすべて2死からのものだった。

 これでマリーンズの気分の色がはっきり定まってしまった。ライオンズとは2位だろうが3位だろうがCSのファーストステージで当たることは決まっている。ホームでやりたいが、いまここで、ホーム開催のために消耗するよりは4日後を見据えて淡々と戦うのが得策だ。決戦といっても2位決定試合でしかないじゃないか。ここで勝っても日本シリーズへの道が開けるわけではない。CSとは違うんだ。大きな試合じゃないんだ。

 そんな気分に支配され、その後はあまり抵抗らしい抵抗も見せずにマリーンズは敗れた。ライオンズは2位奪取の目標に加えて、ホーム最終戦で、石井一久の引退セレモニーも控えていた。「大きな試合」を膨らませる要素には事欠かず、冒頭に紹介したファンのように、「相手は強いぞ」「大事な大一番だぞ」と自分たちにいい聞かせるように最後までよく打ち、リリーフも力強い投球をつづけた。

 だからこの試合だけでCSを占うのはむずかしい。おそらく序盤の4回あたりまでがCSの前哨戦だったはずで、ライオンズのファンもそうそう安心はできないだろう。

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