セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
トッティらが躍動し開幕7戦全勝。
新監督のもと変貌したローマに期待。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/10/08 10:30
ダービーで怨敵ラツィオを撃破したローマ。ガルシア監督(左から2番目)は、デロッシ(左から3人目)、トッティ(左から4人目)らと歓喜のラン&ジャンプの輪に加わった。
開幕から7戦全勝、ローマがまさかの快進撃を続けている。5連勝目でクラブ新記録を達成すると、2010年4月以来の単独首位へ躍り出た。
昨季6位だったチームの突然の変貌ぶりに敵将たちも舌を巻く。6節で5失点大敗を喫したボローニャの指揮官ピオリも「このローマは強い。強すぎる」と、あっさり白旗を上げた。
7試合で記録した20得点と1失点は、ともにリーグトップ。数字はもちろん、プレー内容も奮っている。
ローマは生まれ変わった。
新監督ルディ・ガルシアが愛用する「4-3-3」は、過去2シーズンを率いた前任者たちの戦術に重なる。ただし、闇雲にボールポゼッションにこだわったルイス・エンリケや攻撃のみを偏愛したゼーマンに比べ、2年前にフランスのリーグアンを制したばかりのフランス人指揮官の戦法は、より明快でバランスに優れる。
引いて、追い込んで、ボールの動きを止める。
走って、つないで、打つ。
守備ラインを下げ、自陣でより人数をかけながら、組織的にボールを狩り、高さで弾き返す。夏に獲得した新CBベナティアはすでに守備の要となった。さらに、信頼の置ける守護神不在は長年ローマの泣き所だったが、ナポリからベテランGKデサンクティスを獲ったことで解決を見た。
抜群のコンディションで実現した、全員が動くサッカー。
中盤のビルドアップは、技巧派MFピャニッチと万能型MFデロッシが担う。対人守備能力を買われて移籍してきたオランダ代表MFストロートマンも、すんなりとイタリアの水に馴染んだ。移籍金2000万ユーロ分の期待に違わぬ働きぶりを見せている。
ウイングへコンバートされたMFフロレンツィとアーセナルから呼び寄せられた俊足ジェルビーニョのサイドアタッカーコンビは、敵陣の左右をえぐりながらすでに2人で7ゴールを挙げた。彼らを操る主将トッティは、“偽9番”として攻撃の自由裁量を与えられ、7節終了時点でリーグトップの6アシストをマークしている。
今季のローマの際立つ特長は、後半の勝負強さだ。5節までに挙げた12ゴールはすべて後半に奪ったもの。疲労の出る後半に得点機を多く生み出せるのも、フィジカル・コンディションの調整が成功しているからに他ならない。全員が動くムービングサッカーによって、得点者の数は7節までに9人に上る。