安楽は甲子園から1カ月で課題を克服してみせた。

　しかし18U選手権では、帽子が飛んだシーンを私は一度も見なかった。それでいてベネズエラ（完封）、カナダ（リリーフ）、キューバ（8回コールド0失点）を0点に抑え続けている。とくに目をみはったのがキューバ戦で見せた4回1アウトからの6者連続三振だ。

　甲子園ではストレートが最速155キロをマークし、何が何でも速い球で打者を圧倒するんだと気持ちが急いているのが目に見えたが、この6者連続三振をマークしたときの最高スピードは149キロ。その多くは140キロ台前半で、それも1人に対して多くて6球しか投げていない。それでもキューバ打者のバットは空を斬り、あるいは呆然と見送るしかなかった。

　安楽は甲子園で見せた将来への不安を、たった1カ月足らずのうちに払拭してしまったのである。この短期間での「沈んで→浮き上がる」逆転劇は今後の安楽の野球人生に大きな意味を持っていると思う。

打者の「意外」な活躍に感じた驚き。

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　キューバ、ベネズエラ、メキシコの南米勢、韓国、台湾の東アジア勢、さらにアメリカ、カナダの北米勢との対戦は、対プロを想定した前哨戦と見ることができる。ここで投手は松井、安楽だけでなく山岡が自責点0、飯田晴海（常総学院）が防御率0.90と予想以上のピッチングを見せた。しかし私が目をみはったのは投手よりも打者の活躍のほうである。

　元々、投手についてはプロで構成されたオールジャパンがWBCなどさまざまな国際大会で活躍しているのを見て「世界でもトップクラス」という認識を持っているが、打者ははっきり言って「非力」という印象しか残っていない。しかし18U選手権に出場した13人の中で打率3割以上を記録したのは10人。全選手の成績を紹介しよう。

森友哉（大阪桐蔭・捕手）     　　打率.406、打点15 ※本塁打1
渡辺諒（東海大甲府・内野手）   打率.367、打点6　※本塁打1
吉田雄人（北照・外野手）   　　　打率.364、打点6
熊谷敬宥（仙台育英・内野手）　打率.333、打点4　※盗塁5
竹村春樹（浦和学院・内野手）　打率.333、打点4　※盗塁3
森龍馬（日大三・外野手）     　　打率.320、打点5　※盗塁3
内田靖人（常総学院・内野手）　打率.314、打点5
園部聡（聖光学院・内野手）    　打率.267、打点7
奥村展征（日大山形・内野手）　打率.214、打点3
↓（以下は出場が少ない選手）
岩重章仁（延岡学園・外野手）　打率.444、打点1
若月健矢（花咲徳栄・捕手） 　　打率.429、打点3
上林誠知（仙台育英・外野手）　打率.333、打点3
逸崎友誠（明徳義塾・内野手）　打率.273、打点2

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