プロ野球亭日乗BACK NUMBER
岩隈の交渉決裂状態は必然か!?
ポスティング制度の歪んだ現実。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2010/11/28 08:00
ファンへの別れの挨拶は正式契約以降と決めていた岩隈は、ファン感謝デーでもセレモニーは行なっていなかった。来季も楽天に残留することが濃厚だというが……
ポスティング制度の諸問題が日本球界を歪めていく!?
ある球団は移籍を認めるが、別のある球団は認めない。
この不公平感は選手にとっては、矛盾に満ちたものに感じられるはずだ。しかも、こうした球団の恣意性を利用して、球団幹部が自分の関係するマネージメント会社や代理人を使うことを条件にポスティング移籍を認めている、という“黒いウワサ”もよく耳にする。
制度の根幹は大きく揺らいでいると言わざるを得ないことになる。
「僕はこの条件を受けることは反対だが(岩隈が)どうしても行きたいと言えば、クライアントなので従うと思う」
交渉が中断をしたことを受けて、代理人の野村氏はこう語るとともに、楽天残留の可能性も否定しなかったという。
一方の岩隈は「お金ではない」としながらも「必要とされているチームでプレーしたい。(ア軍に)求めるのは気持ちです。僕は日本人ですから」とその「気持ち」の表れとしての条件面に納得していないことを、ほのめかしていた。
岩隈は順調にいけば来年には海外FAの権利を獲得する。こんな歪んだ制度ではなく、FAとなって、好きな球団と交渉した方が、すべての面でスッキリするように思える。