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「孤独」の深さを教えてくれた、
60代のひねくれた友達。 

text by

井手裕介

井手裕介Yusuke Ide

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photograph byYusuke Ide

posted2013/09/08 08:01

「孤独」の深さを教えてくれた、60代のひねくれた友達。<Number Web> photograph by Yusuke Ide

井手くんがお世話になり、色々なお話をしてくれたTed&Mihoko夫妻。

あと半分、この旅の終わりを考える。

 僕は孤独感を紛らわすように、この旅のこと、その後のこと、将来のことなんかを考えていた。

 この旅で出会ってきた人たちの生き方は、僕に大きな影響を与えてきただろうし、それなりに現実的なことを考えることは、この現実離れした山歩き旅を続ける支えになった。

 あと半分、この旅にも終わりがあるのだ。道はいつか終わってしまう。僕はその先を、どうやって、どこに向かって歩いて行こうか。今度は、道を自分で見つけなければいけない。

『イージューライダー』を歌う奥田民生が聞いたら、贅沢だぞと怒るかもしれない。

「気を抜いたら湧いてくる現実の明日」。そんなことをわざわざ考えながら、「あの向こうの、もっと向こうへ」歩き続けたのだから。

「都の西北」に思いを馳せ、今日も歩く。

 

 どうして僕は山を一人で歩いているのだろう。考えてみると、僕が登山を始めたのは、文字通り同じ釜の飯を喰う友人が欲しかったからだ。

 決して山登りという行為そのものに惹かれて始めたわけではない。

 それがいつの間にか、山を歩くことに愉しさを感じ、一人で山に行くようになった。

 どうして、いつの間に僕は一人が好きになってしまったのだろう。Tedならその答えを知っているだろうか。

 Facebookを開く度に、彼から身を案じるメールが届く。その答えは何度も返しているだろう。

 僕は、大丈夫さ。

 そういえば同じ釜の飯を食った登山サークルの仲間たちは、今頃何をしているのだろうか。後輩たちは合宿の時期を迎えようとしている。

「都の西北」に思いを馳せ、米の西北を貫く道を、今日も歩く。

 快適なスピードで。

夏真っ盛り、北カリフォルニアのトレイル。

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