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辛勝のシャルケがCL本戦出場決定!
内田篤人が語った2つの“嬉しいこと”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2013/08/28 12:05
CLのかかった重要な一戦で、1st、2ndレグともにフル出場し、2季連続となるCL本戦出場に大きく貢献した。欧州トップクラブとの対戦を内田も楽しみにしていることだろう。
怪我を悪化させる悪循環を招いた昨季の反省。
一昨シーズンには、コンディションが整わずに監督からの信頼を失い、ベンチ入りメンバーからも外れる屈辱を味わった。それ故に、昨シーズンは怪我からの回復が思わしくなくても、無理をして試合に出て、怪我を悪化させるという悪循環を繰り返した。
その反省は、内田の胸の中に確実に残っていた。
チームにとっては、今シーズンの選手たちのモチベーションを保つためにも、そしてCLに出場することで得られる莫大な金額を考えても、CL出場を逃すことは絶対にできない。
目の前のリーグ戦で無理するよりも、CL出場のかかった試合で全力を尽くす道を選ぶのは必然だった。
そんな内田にとって、この試合では嬉しいことがあった。
「(試合の後半に相手が)長いボールを入れるようになって、(身長の高くない)俺は代わるかなと思ったけどね。そういうところで続けて出してもらえるというのは、信頼してもらっているのかなって。サイドから放り込んでデカイ相手をいれてきて……。(いずれも途中交代で入ってきた)マティプもロマン(ノイシュタッター)もデカい選手だから、(代わりにピッチを出るように命じられるのが)俺かなと思っていたけど、違かったね」
各国の代表選手が揃うシャルケほどのチームともなると、他の選手に出場機会を与えれば、そのままレギュラーの座を失ってもおかしくない。しかし、この試合で交代が無かったということは、昨シーズンの後半戦から指揮を執るケラー監督の前で見せてきたパフォーマンスを通して、内田がしっかりと信頼を勝ち取ったという証と言えるだろう。
「少ないチャンスの中で前に行かなきゃいけない」
そして、もう一つの収穫がこの試合で決めたアシストだ。現在発売中のNumberのインタビューで、内田はこのように明かしている。
「特に代表ではほとんどバランスを見ているよね。ザックさんもそれを言うから、当然やらなきゃいけないんだけど。ただ、そうやって自分の状況について考え始めてから、ラームを見るようになった。バランスをとろうとして、後ろのほうで小さくなっているのはイヤだし。少ないチャンスの中で前に行かなきゃいけないなと思うし」
この試合でも、相手の攻撃の中心であるストフに裏をとられるのを警戒して前線にあがっていくことをためらっていたのだが、ケラー監督からオーバーラップを強く求められたために前に出た。そして、それがすぐにアシストという結果につながった。
「俺は『(前に)行けない』って言ったんだけど、前に行ったら、(チームが)点をとれちゃうっていうね。そこは勉強になりました」