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ただいま賞金女王レース独走中。
森田理香子、強さの秘密。
text by
月橋文美Ayami Tsukihashi
photograph byToshiya Kondo
posted2013/08/28 10:30
パーオン率2位(8月28日現在)を誇る森田。賞金女王タイトルをかけた終盤戦に向けて、パッティングがカギを握る。
将来を見据え、実戦でトライ&エラーを繰り返す。
驚くほどの“頑なさ”も、他の選手にはない強さだ。2年ほど前だっただろうか、あるトーナメントで森田のプレーを見ていると、なぜ? と首をかしげたくなるほどにランニングアプローチを多用していた。
聞くと、その週の練習日、師匠の岡本綾子に教わった技術を身につけるため「試合の中でやらないと」と、実践していたのだという。たとえすぐに結果が出なくても、与えられたただ1つの課題に向き合う――。その勇気と度胸、先を目指しての向上心が、ジュニア時代からのスウィングを修正することができた要因なのだろう。
開幕戦優勝の直後、師匠の岡本がこんなふうに語っていた。
「去年の成績で周りにチヤホヤされても、自分の足元を見ながらしっかり練習してきた結果。やっぱりよく練習してるわ、彼女は。ホテルの部屋でもちゃんとトレーニングしてるしね」
試合中も毎日、朝40分ほどのストレッチ、晩には2時間近くのトレーニングと、誰も見ていない場所で地道な努力を続ける。この5年ほどで、その体つきは、スウィング以上に進化している。
超一流選手のすごさは、練習量以前に、その努力を続けられる体力と気力を持ち合わせていることだという。
実力者揃いの同門生との切磋琢磨。
森田は「岡本さんみたいにきれいなスイングをするプロになりたい。誰が見てもきれいで、リズムがいいって言われたいし、真似したいと思われるようになりたい」と夢を描く。
師匠であると同時に憧れのプレーヤーでもある岡本綾子の背中を追いかけている。周りに表純子、服部真夕、青山加織、若林舞衣子という、実力ある同門生がいる環境も、恵まれている。仲間意識も強いが、互いにライバル心もある。くじけそうになっても、くじけるわけにはいかない。
岡本の計らいで、毎シーズンオフ、日立マクセル京都ソフトボールチームに合流しハードトレーニングを重ねていることも大きい。筋力、スタミナの向上に加え、団体競技で生きるアスリート達から、社会性や注意力、集中力などを教えられ、視野も広がった。元来恥ずかしがり屋で人見知り、幼い頃からゴルフの世界で純粋培養されてきた森田の精神面は、確実にレベルアップされている。